5/31 セネガルの「火踊り」
これでも、多少はサッカー通ということになっているから、社内の廊下で通りすがり聞かれた(質問者は忘念)。「今日の試合、フランス:セネガルはどうなんですか?」
「これからの人生がかかっているのは、セネガルの連中ですよね。評価されればこのあとが違ってくる。セネガルの選手はみんなフランスでプレーしているわけで、いわば移住1世。相手のフランスは移住2,3世の黒人が中心で、1世対2,3世連合軍の勝負です。サッカーは何があるかわからないから…」とは答えたものの、やっぱりフランスのほうが強いはず、だと思っていた。その理由は、NHKのドキュメントのせいだ。
ご覧になった方も多いと思うが、優秀なサッカー少年を集めた「選手養成所」を持つフランス、そこに集まっている少年の大半は色黒の少年達。彼らはそこで切磋琢磨して磨き上げられ、やがて世界の舞台へと旅立つ。昨年のワールドユースでも、フランスの強さは一頭抜けていた。シネマボンゴルとかいったっけ、もうユースレベルじゃ勝負にならないもの。彼の肌が黒かったのはもちろん言うまでもない。
かつてJSPの田中章さんに「サッカー界はいまごろになって第2次世界大戦の影響がでてきましたよ」という話を聞いて驚いたことがあった。しかし言われてみればもっともな話で、戦勝国は植民地を維持し、そこから移民のかたちでアフリカンを自国民として取り込んだ。フランスはその典型、英国国籍を持つ黒人プレーヤーも多い。逆にイタリアやドイツはネイテイブだけで代表チームを組まざるをえない、なにせ敗戦国だから… 内戦で参加しなかったスペインも同様。
第一、 フランスが強くなってきた課程を見ればそれは一目瞭然でしょう。80年代、プラテイニ率いるフランスを運動量で支えたのはテイガナ、トレゾール、ジャンビオンの肌の黒い人たちであった。とりわけJ・テイガナはシュートこそ下手だったが献身的な運動量で、王様・プラテイニを、たぶんバスク(フランス、スペイン国境)人であったであろうジレスとともに支えたのだった。レギュラーの中に有色人種がどーーっと増えた前回98年、フランスは地元の利と、彼らの初優勝への高いモチベーションで勝利を得たのである。K島には「デサイー一家の執念」とすら見えた優勝だった。優勝トロフィーを囲んだ有色人種たちは腹のうちで「今度は使われたわけじゃない、俺たちが奪ったんだ」と叫んでいるように見えた。それはそれとして、あのフランスDFをタテに抜き去れるセネガルのアタッカーは凄い。選出された日本選手にあれはできるでしょうか? 市川?アレックス?岡野?はいませんけどね(笑)。
あ、そんなサッカー評論するために始めた日記じゃないんです。つい力こぶ入ってしまいました。それでもやっぱり連覇は難しそうだなというのが今日の感想、それよりなにより、セネガルの1点取ったときの踊りはよかった。あれでユニフォームに火をつければ立派な「火踊り」だったでしょう。恒例の「ワールドカップ大予想」実力テストの答案、80枚ほどチェックしましたが、1点のハンデを与えたにもかかわらず、セネガルに印を付けた人は3人だけ。開幕初日から、フットボール予想の難しさを実感する試合ではありました。じゃまた。
6/3 ナマ観戦記1:アルゼンチンvsナイジェリア「さすがはバテイ」
東京都練馬区から茨城県鹿嶋市への道は遠い。どう考えてもクルマでいくのが一番早い。チケットには公共の交通機関で…と書いてあるが知ったことかである。この日池袋を9時過ぎに出発した我々は10:30には指定のアントラーズ駐車場に並ぶ渋滞の最後尾に着いていた。さほど飛ばさないK島の運転でも、そのくらいだから飛ばした人は1時間くらいで着いちゃっただろう。でも問題はここからだ。
まず、駐車場に入るための渋滞、これが30分はあった。ピストン輸送のバスにはすぐ乗れたが、スタジアムへ入るにはまた行列である。荷物検査やら金属探知器やらをへて会場入りできたのは12時すぎ、じつに大仕事でありました。これがフツーの試合だったらジェッタイに行きませんね。実にかったるい。
この日何を着ていくか? 普段は服に無頓着なK島でもそれはけっこう大きな問題だった。たしか昔信濃町の歩道橋の下で、いかがわしいガイジンの露店で買ったアルゼンチンのまがい物ユニフォームがあったはず…とさがしてみたが、出てこない。長いことタンスのこやしだったので、配偶者の手で処分されたのだろう。で代打出場はラツイオのカップ戦用?水色ストライプのシャツ、バンコク国立競技場横の露店で300バーツで買ったばった物。腹にデルモンテのマークが付いてるけど、遠目には十分アルゼンチンのユニフォームである。これにテニス用NOBUの黒パンをあしらえ、白ストッキングにフットサル用のスパイクで固めた(スネ当ては入れず)。気分としては、ベンチに控えるサブのつもり(笑)である。
しかし、これは大失敗。スタジアムには日本中の水色ストライプを集めたんじゃないかと思うくらい、会場は「にわかアルゼンチン人」だらけ。まあ、ラツイオ(クレスポ所属)のロゴ入りが救いだが… ってよくわかんないなあ。隣席のとがしやすたか(漫画家:ジャンルカの親戚)は前日アルゼンチンユニフォームのレプリカを買って着ていた(かけことば)。1万2千円とか… 彼も「いやあ、こんなに水色が多いとは」とあきれていたっけ。このあとの数試合の観戦服は、もう少しひねる必要があると痛感しました、はい。
さて、まずは腹ごしらえと、売店で弁当を購入、ビールは?と尋ねると午後1時からの販売だという。泥酔者を出さないためなんだろうね。我々は5分前から行列を作って待ちました。せっかくのワールドカップ、せめてバドワイザーに協力したいじゃないっすか。で、その間にスタジアム周辺を見学。この試合いちおう「フーリガン指定試合」なんですけど、おーーっと、「フーリガンもどき」を発見! 国旗やら、太鼓やら、顔面メークやらで行進する30名ほどのチーム。アルゼンチン人20+日本人10くらいのメンバー構成。と、そこへ通りかかったのが3人のナイジェリアサポーター、当然肌の色はB100(ブラック100%)で蛍光グリーンのユニフォーム着用。するとアルゼンチン側の日本人がけしかけるんですね。なにやらスペイン語でわめきながら、ナイジェリアサポーターの側でラッパを吹き鳴らす。「アルヘンテイナがやるならまだわかるんだけど、なんで日本人のおまえがやるんだよ」というカンジ。ま、ほとんど歯牙にもかけてもらえなかったようでザマーミロでしたが、けっこう不愉快だった。
ところで、これから行く人、ないしはフーリガン志向の方のためにアルコールの持ち込み方法をお教えしましょう。簡単です、ジャグ(水筒)で持ち込めばいいのです。K島の高校時代のキャプテン鶴田幸夫さんのアイデアでしたが、全くノーチェックでした。ただし中味は正真正銘の麦茶だったので、クレームがついたらドボドボと捨てようと思っていたんですけどね。容器の性格上、発泡性のビールはキツいけれど、ウーロンハイなら問題ないでしょう。ビジネスにしたい向きは、氷と原液をジャグに入れ、別にペットボトルを持ち込み(ペットボトルは入り口で蓋を没収され、スタンド前で紙コップに移し替えの規定:よってフリーの紙コップは現地で入手可能)原液を割れば、相当多量なウーロンハイが作れます。
問題のチケットについてはどうだったのでしょう。現地引き換えの指示を受けた岸弘之さんからのメールをご紹介します。
「長い一日でした。朝7時に出発して、ある程度の混雑を覚悟して高速を走らせましたが、何事もなく9時前には、FIFAのチケットセンター(カシマセントラルホテル内)に到着、さぞかしりっぱなオフィースを想像していましたが、扉にはワープロで打った張り紙一枚、殺風景なホテルの事務所に二人の女性(外人、日本人)がいるだけ、なんとも拍子抜けでした。
前日に東京のチケットセンター(東京国際フォーラム)で確認をしましたがちゃんと届いているか不安でした。でも、ベルギーで申し込んでくれた友人のIDカードのコピーを提示してすんなり発券、私たちの身分も確認することもなく無事念願のチケットを手にしました。皆さんご心配をおかけしました。
帰りは駐車場を出て少し渋滞しただけでほとんどスムーズに帰ってきました。(潮来インターを避けひとつ東京寄りの佐倉から高速に入りました)。K島さんは潮来インターからですか、どうでしたか?」
そんな岸さんたちの周囲の席はガラガラ、おそらく外国申し込みの枠だったのでしょうね。せっかくのW杯、可能な限り多くの人に参加の場があるべきで、JAWOCはここでも「外務省」レベルの失態を演じたことになります。
前説ばかりが長くなってしまいました。肝心の「観戦記」に移りましょう。会場は水色のサポーターだらけ、アルゼンチンの準ホームといった雰囲気です。欧州のサッカーには、割と詳しいと自認するK島でさえ、ナイジェリアの選手で顔と名前が一致するのはカヌ1人。オコチャやババヤロ、ウエストは名前のみの認識、だいたい黒すぎて表情までわかりまへんがな。そこいくとアルゼンチンなら、バテイはじめオルテガ、ベロン、シメオネ、サムエル、モネール(いないか?)名前と顔が一致する。これってかつて日本中「巨人ファン」だった時代があったのと似てるよな、選手の顔と名前、知ってる方を応援するしかないというだけの話。
ま、それでも今回のアルゼンチンが強いのは事実で、大会前の予想ではフランスと並ぶ本命、一方のフランスが「飽食の弱み」を見せたあとだけに、どんな試合をするか興味津々でした。注目のFWはバテイです。33歳、アタッカーとしては高齢ですがやはり絵になる選手でした。とがしいわく「オーラを感じる」、K島も同感です。
我々の席はアルゼンチン応援団の側のゴール裏左、よって前半は遠くの方でアルゼンチンが攻めていて、うかつにも眠くなってしまいました。これは試合の前にビールと食事をした報いで大いに反省するところです。今後は選手同様、4,5時間前に食事を済ませアルコールは控えて臨もうと思います。というかアルコール解禁は後半の20分過ぎだな(この甘さにあきれる?)。で、ハーフタイムに顔を洗って出直し、今度は近いサイドでオルテガが球をこねまわし(持ちすぎだと思うけどね)、ゴンザレスがキリ込み、迫力十分でした。
自慢ではありませんがK島が「そろそろアルゼンチンが点取りそうな気がするけど…」
と隣席のとがしに言った5分後くらいに、目の前で例のバテイゴールが飛び出しました。今日の新聞を見ると同じチームの選手の肩に手を掛けて打ったヘデイングとか。他人の女でもかっさらう“人でなし”、それがアタッカーの資質というものです。K島には出来ません。(相手も同意しない)。その前のコーナーもバテイ狙い、コーナーを蹴るベロンは「ここはバテイのおっさんを信じよう」と思いつつ上げたに違いありません。
あとは、アルゼンチンDFの予知能力の高さにあきれるばかり。アルゼンチンというと「攻め」の印象が強いチームですが、どっこいDFの安定感も凄いのです。1人1人の危機察知の能力が高いから、1カ所で抜かれても2次災害(つまりシュート)に至らないというわけ。後半のナイジェリアは点を取りに行かねば行けないのに、シュートにたどり着けないのだから、選手の疲労もさぞかしのことだったと思います。
アルゼンチンのDF、その中心はショートカットのセンターバック、サムエル。「威丈夫」の3文字が走り、飛び、蹴るというカンジで、ああいう日本人がいたらなあと思います。パサレラ、ブラウンといったアルゼンチン系センターバックの系譜をしっかりと引き継いでいるように見えました。
後半、残り10分くらいでの選手交代、バテイ、ベロンにかわってクレスポ、アイマールですからねえ。控えの豪華さもこのチームの強みです。「アタッカーのレンタル制度はないんかい」と思わず叫びたくなりました。ナイジェリアGKの奮闘もあって1:0で終了しましたが、アルゼンチン完勝という試合。このチーム、最低でもベスト4は固いでしょう。
ところで帰りの渋滞はそこそこで、駐車場エリアを抜ければたいしたことはなかった。といっても首都高も少しは渋滞してたし、試合終了から帰宅まで約3時間。そのあとテレビでスペイン:スロベニアを見るのがせいいっぱい、ワールドカップは見るのも出るのも大変なんだなあ。
さて土日の試合のなかで印象深かったのは2試合、まずスペインがよかった。パスのスピードと予測が最高、おまけにラウルの股間抜きスーパーゴールまで飛び出して大いに期待が持てそう。テニス仲間の田下実さんに託した、スペインナショナルチームとレアルマドリーのタオルマフラーも現地で働いてくれたことでしょう。そしてスタッフとして同行の佐伯夕利子さんは、はたして「あげまん」になれるでしょうか?
もう1試合はドイツ:サウジ戦、階級の違うボクサーが戦ってしまった、そして軽量の選手が打ち合いを挑むとああいう試合になるという例ですね。大昔の世界ジュニアウエルター戦で、門田新一がアントニオ・セルバンテスに負けた試合とよく似ていました。さきほど会社の1階の廊下で末光達郎クン(イーグル後輩の吾郎の弟)とすれ違い、この試合の影響でアジア枠は3に減らされるだろう、ということで合意を得ました。
6/4 イタリア好調なスタート
今朝のネクタイ選びは簡単だった。昨日ビエリ2点、ロナウド1点、そして今宵は日本:ベルギーとなれば、濃紺に青小紋のインテルマーク入り、で決まりでしょう。今日のは「ばった物」ではありません。ミラノ土産の本物であります。ついつい駅で週2売りのサッカーマガジンにも手を出す。我がイーグル(K島が学生時代所属していた同好会)後輩・近藤篤の悪口雑言がさえていた。寓話に登場するロバは「みな間抜けだ」という話を前説でふっといて、ロバよりひどいにわかサッカー周辺金権亡者を糾弾?する写真付きエッセイ。ご興味のある方は立ち読みでどうぞ。中とじのど真ん中、ホチキスのページなのですぐ見つかると思います。
さて、実は昨日はニュースしか見ていません。K島が大好きな、というか、そのアドリブセンスはたぶん女性アナ中No1だと思われる、鈴木君枝さん(日本テレビ)と食事してたからで、ときにはワールドカップより優先する作業もあるわけです。ただしツーショットではありませんので、誤解なきよう。
そこで今日は昨日好調なスタートをきったイタリアの話でお茶を濁します。
かつて、ドイツのサッカーを交響曲にたとえ、イタリアのそれをオペラに例えた記事を読み「なるほど」とうなったことがあります。ドイツは指揮者・ベッケンバウアー(ヒットラーという説も)のタクトのもと全員が歯車となって働くサッカー。いっぽうイタリアは8人で守って、あとは前線の3人の歌い手(アタッカー)におまかせというオペラのシステム。今回で言えば、ビエリ、トッテイ(デルピエロ)が歌い手というわけですが、バックコーラスのハーモニーが合わないとやっぱり辛いよね。
個人的には、苦しい試合で流れを変える選手、いわばスキラッチの役になるであろうモンテッラが鍵を握ってるように思うんだけど。シーズンフル出場したわけじゃないから体調も悪くないだろうし…
過去のワールドカップのイタリアで一番印象的な選手っていうと、何といってもジェンチーレに尽きる。いい男揃いのチームにあって、風采はあがらない。肉体も大きくはない。中盤の底でひたすらせこく相手の心をささくれ立たせる反則を繰り返す。“殺し屋”と呼ばれたがイタリアンマフィアみたいな豪快さはみじんもない。攻めるシーンに登場することはほとんどなく、存在そのものは限りなく地味であった。しかしジーコもマラドーナも彼のマークに苦戦を強いられたと記憶している。だから「サッカー悪役物語」という企画があったら、まず、登場は固いだろう。かつて戸田博視さんがうまいことを言った。
「K島よう、あのジェンチーレっていうのはさあ、いかにも“私は一生懸命走って、でも追いつかないんで足が引っかかって、結果ファウルになってしまいました”っていうカンジを表現するのがうまいんだよな。実は意図的にやってるくせによお」
まさに、そのとおりだ。当時少しはサッカーをしていたK島は、ロッシにはなれないが、ジェンチーレにならなれるのではないかと思ったが、根が善人なので無理だった。というより、反則をするのも技術のうちで、ある意味ではものすごく難しい技術?だと思う。
世の中にもそんなタイプの人間っていますよね。プロレスだってさあ、名誉は善玉レスラーが持ってくけど、金は悪役のふところに流れ込むじゃないですか。反則王は反則王として評価される風潮も80年代にはあったように思います。
今はそんな選手にも「守備的ボランチ」なんて、少し格上げされたような名称がつき、チームによっては3枚も置いたりするわけだけど、反則にはキビしくなったよなあ。後からのチャージ、シャツつかみ、押さえ込み、たぶんジェンチーレなんて前半でイエロー2枚もらうんじゃなかろうか。今日の“殺し屋”日本の戸田選手はどうでしょうね。ガツンガツン行くんじゃなくて、クレバーなDFを期待しています。
そうそう反則といえば、一昨日のアルゼンチン:ナイジェリア戦でアルゼンチンGKの反則を発見しました。キックオフ直前、ペナルテイエリアの白線を2箇所、ゴールポストの延長線上のポイントで、削って印をつけていた。2年ほど前、同様のプレーで西東京市リーグにおいて、試合前にイエローもらったのは、ウチのチームでなんと3級審判のライセンスを持つ鶴田幸夫さんだったのです。それとも西東京市リーグの審判が厳格すぎるのでしょうか?
さあて、今日の日本vsベルギー戦はどこで見ようかな?
6/5 野球部の鈴木クン
今日は待望のサッカークラスマッチの第1戦だった。ウチのクラスにはサッカー部員は2人しかいない。中田クンと小野クン、二人とも中盤の選手なので、がたいのある野球部(センター)の鈴木クンと帰宅部(あいつは軟派だから…)の柳沢クンがアタッカーだ。ボクの親友のボクシング部(フライ級)森島クンは残念ながら控えだった。これは担任のトルシエ先生が決めたメンバーだからしょうがない。
相手のクラスは1学年上で、しかもバスケット部の巣窟だから、とにかくデカい。デカい相手とぶつかるわけだから吹っ飛ばされる。空手部の戸田君、合気道部の森岡クンが気合いで迫ったけど、森岡クンは怪我しちゃった。平気かなあ? 僕としてはホントは柔道部の秋田クンに出てほしかったんだけどね。
鈴木クンは、練習ではさんざんだったけれど、見事な1点を入れてくれた。だけど、あのときの相手のDFはけっこう間抜けだった。鈴木クンは小技がある選手じゃないから、ああいう点の取り方しかない。なのに走るコースを見事に譲ってくれたんだものね。
2点目は見事だった。イギリス帰りの稲本クンはアーセナル中学校でサッカー部だったんだって。イギリスの中学校に行けばやっぱり上手くなるんだなあ、って思った。実は稲本クンは幻の3点目もあったんだけど、反則取られてダメだったんだ。中西哲生先生いわく「2人の間をぬけるときにスパイクの裏を見せたからファウル」松木安太郎先生いわく「シュートの直前、相手の足をブロックしたプレーがボールに行ってないからファウル」どっちの反則だったんだろう? 周囲のプレーの止まってるタイミングからすると中西説だけど、相手に接触した強さでは松木説、まあ終わってしまったことだからしょうがないけど。
取られた2点は、1点目はシュートをほめるとして、2点目が情けなかったなあ。宮本クンは英語部で勉強は出来るけど、DFの中央っていうタイプじゃないよ。先生のお気に入りなんでしょうがないけど、秋田クン使ってくれー!!
以上新聞部K島がお伝えしました。
というわけで2:2の引き分け。まあ、こんなものでしょうね。それより応援が情けない。釜山の韓国はスタジアムが真っ赤でした。「会場にウルトラズは入ってないのか」とポルトガルで観戦していた野明郁雄さんからもメールが届いていたくらい。あれじゃ、レフェリーにプレッシャーかけられないでしょう。日本戦はプラチナチケットで、熱烈サポーターよりコネ&名士系、ITオタクの観客が多いことも関係しているように思う。まあ、日本のサッカー文化が未成熟と言ってしまえば、それで終わりなんでしょうが… なにしろサッカー部員は2人しかいないクラスなので。
K島の場合、クラスマッチがなかったらプレーヤーとしてサッカーをしていなかったかもしれない。母校石神井高校は都立でありながらサッカーの名門校。いくら好きでも、その練習見たら、中学で部活やってたわけじゃないし、身体能力が高いわけでもない。いちおう3年後には受験も控えてるし「入るのやーーめた。落語でもやってみよ」だった。したがって体育の時間とクラスマッチだけがサッカー実践の場所。最後のクラスマッチに臨む3年A組は、日本代表同様、サッカー部員は2人(このメール受け取っている金井健彦さん、それに山口明弘さん)、この2人がたいして頼りにならないんだなあ。山口は足は速いけどトラップとかシュートはいまいち、金井にいたっては、人生同様不器用そのもののサッカー。K島が金井に「ところでPKは2人のうちどっちが蹴るの?」と聞いたら「それは(しばし沈黙)、勝利のためにはラグビー部の稲垣だな」という返事。GKはバスケット部というのが定石なのだが、バスケット部もいないのでバレー部の妹尾、たしかあっさり1回戦で負けたように記憶してるけど違ったっけ。で、彼らが天下の石神井(その年の関東大会準優勝)のサッカー部員ならK島でも何とかなるだろう、体育の授業では10試合で4点くらい取ったし… ってんで上智大学でイーグルという同好会に入ることにしたんですね。
6/5 やっぱりドイツは強くないと…
まず最初にお詫びと訂正。イラストレーターの五島聡さんから「日本:ベルギー戦、スタジアムの応援は、実際に現場にいたので断言できますが、素晴らしかったですよ。審判へのブーイングにしても、これでもかっていうくらい、みんなでしていました」というご指摘を受けました。五島さんによれば「NHKは会場の音声をしぼっていたのではないでしょうか」ということです。テレビだけで判断するのは危険だという好例ですね。肝に銘じなければいけません。というわけで、はるかポルトガルで「応援が不足じゃ」と心配していた野明さん、ご安心ください。
さて、昨日はドイツ:アイルランドのみテレビ観戦。ドイツが勝てば予選突破第1号ということで、こちらも「ドイツねた」で行こうと思っていたら、衝撃の同点弾! アイルランドはさすがにオランダを食って予選突破した国だけのことはある。国歌はアイルランド民謡調でのどかな曲だったけど、フットボールはキツイね。欧州戦線で揉まれ抜かれた強さ、したたかさを感じました。昨日の方式でクラスマッチに例えれば、日本:ベルギー戦はサッカー部員2人のクラスどうし、かたやドイツ:アイルランドはサッカー部員6、7人は擁するクラスどうしの勝負だったように思います。ようするにレベルが一つ上でした。国歌といえば、なぜかK島はドイツ国歌をドレミファで歌えます(記憶の無駄遣い)。たしか「ベートーベン第九:歓びの歌の一部分」(?)なので、小学校の音楽の授業でやった記憶があるのです。
メロデイだけなら、フランスの「ラ・マルセイエーズ」、イギリスの「ゴッドセイブザクイーン」アメリカの「星条旗よ永遠なれ」、イタリア(題名知らず)くらいは出る。アメリカ国歌は「頼まれへんのに・平和を作ると・爆弾落とし・地獄を作る」と岡林信康が日比谷野音で歌ってた。外国の国歌は小中学校でゼッタイにいい教材になると思う。なんで授業で教えないんだろう。君が代問題がからむせいだろうか。たしか「ラ・マルセイエーズ」は革命歌なんだよね。最初に歌を教えて、その歌の時代背景とかを調べたりする授業があったら、国歌吹奏のシーンももっと楽しめるのに。相手の国の国歌を歌えば民間の国際交流だって進むでしょう。しかし、ロシアは国体が変わるたびに歌詞を変えるので、選手が憶えていないとか、イタリア人は国歌を歌えないとか、お国ぶりもいろいろあるようです。
そんなドイツですが、K島世代にはファンも多いはず。ブンデスリーグはダイヤモンドサッカーでも結構取り上げられていたし、クラマーコーチの影響もあり、日本首脳陣は明らかにドイツびいきだった。そんな縁で?来日したボルシアMGバッハやバイエルンは強豪チームとして印象深い。で、なんたってフランツ(ベッケンバウアー)とデル・ボンバー(ミューラー)で優勝した74年ワールドカップ。フットボールのおもしろさはクライフに譲っても、勝利はいただきまっせという強欲さ。人呼んで「ゲルマン魂」。いつだったかの独仏PK戦で、外して泣いたドイツ人・シュテイーリケと「なんてこったい」とばかりに手をあげただけのフランス人・ボッシ、あのシーンにドイツの強さ、ゲルマンへの忠誠心を見た記憶がある。シュテイーリケなんて、戦前に生まれていたら、ヒットラーユーゲントに入って、忠実な戦士になってたんだろうなあ。
それがいまや、「サッカー斜陽大国」に成り下がり、今回K島の実力テストでもAゾーンから外そうか悩んだほど。しかし「家貧しくして孝子生ず」、ドイツにしては珍しくイケメンの新星、クローゼの登場でこれはいけるかと思ったのですが… ユニフォームもオーソドックスなデザインに戻り強そうに見えます。それにGKのカーンとFWのヤンカーは異種格闘技戦でもいけるくらい怖い。東スポだったら「殺人蹴鬼」くらいのキャッチがつくでしょう。とはいえ、ドイツはドイツ。全体的にボール扱いは硬い、硬い。勝負にこだわるのはいいけど、昨日の後半は守りすぎ。やっぱり、ゼーラー、ベッケンバウアー、マテウスやルンメニゲといった強烈なリーダー(交響曲の指揮者)がいないと、ヒットラーユーゲントの力は発揮されないのでしょうか。実はK島は憎まれ役・ドイツの復活を願っています。強い悪役がいてこそのプロレス繁栄です。昔、会社のサッカー部でやってたころ、あの白黒のユニフォーム着てた写真が今も部屋に飾ってあったりするし…
6/7 凄かったフランスvsウルグアイ
釜山は盛り上がったでしょうね。韓国が勝ったと思ったら、今度は凄絶なドロー! 0対0でもあんだけ凄ければ文句ないでしょう。両方とも負けたらオシマイという後のない一番。将棋で言えば降級のかかった勝負で、将棋なら翌年頑張って復帰という手もあるけど、ワールドカップは4年に1度だからなあ。でもって早々にレッドカードが出ちゃったから、荒れた荒れた。ダリオシルバなんて「熱くなりすぎてるから、ピッチにおいとくと退場を食らうのが目に見えてる」ので交代させられたんだと思う。トップクラスの選手達でも、スモールフィールドやコンパクトなゾーンプレスは忘れちゃって、久しぶりの「やあやあ、我こそは・・・」的な、打ちつ打たれつの打撃戦。まるで格闘技の世界でした。相手の手段を殺し合うのではなく、真っ向からの打ち合いに大拍手です。
この試合のチケット持ってた人は大当たりでしたね。気の毒だったのは日本でカメルーン:サウジを当ててしまった(買ってしまった)人、この試合はナマで見てこその興奮もの。ま、そういう運不運もフットボールの要素の一つなんだろう。それにしても、フランスは1次リーグで疲弊してしまって、よしんば突破できたとしても決勝トーナメントでは期待できそうもない。フィーゴ、ジダンノみんな傷んでるし疲れてるようだ。そこいくと中田やバテイはシーズンフル出場じゃなかった強みがある。
さて、今晩は予選突破第1号にスペインが名乗りを上げるかもしれません。このメールの受信者には結構スペインびいきが多いのですが、在スペインの熊丸広美さんにスペインのアキレス腱について2つ質問してみました。
質問1:サッカー部の練習に「ダッシュ抜け」というのがあります。50メートルを走って速いもん順に抜けられる。相手の走力はわかっているから、自分の勝てそうなあたりが勝負なのですが、スペインチームでこれをやって最後の2人に残りそうなのがセンターバックのイエロとナダル。なにしろ2人合わせて69歳、おっさん2人が、セネガルみたいな足の速い相手にどう対応するのかですね。
クマ:「 確かにHierroとNadalは遅い。皆そういうし、私もそう思う。私はNadalの代わりに大好きなIvan Helgueraがいいと思うけど(でも彼はハーフの方がいいけど)、確かにパスを読んだり、駆け引きの上手さはまだ抜群だよね。Nadalさんには逢ったことがあるのだけれど、どでかくてがちゃ目だったのが印象的。優しい人だったよ。セネガルみたいなのには、ボランチの連中が下がって守るかなあ。どう??」
質問2:もう一つ、今回のスペイン代表は各地域の選手連合軍です。どうなんでしょう、若い世代でも「地域対立」みたいな意識はあるんでしょうか?もう、内戦憶えてる世代も少ないし、マドリ:バルサ間のトレードも何件かは成立したし、そういう意識は少なくなってるんじゃないかと思うのですが。
クマ:「あんまり対立はないよ。出かけるときに(自由時間とか)マドリッド組は一緒に行くとか、ヴァレンシア組は一緒に行くとかはあるけど、結構仲いいよ。ルイス・エンリケなんかもともとマドリッドにいて、バルサに行って、成功してカタラン人の奥さんもらって滅茶苦茶マドリッドに反抗してるけど、こういう人はめずらしいよね。この頃。プジョールなんて下部組織育ちだけど(バルサ)皆と仲良くしてるもんね。ところで、わがあこがれのLAUDRUPがデンマークベンチに座っていて、やっぱやっぱ 格好いい〜〜!!ねえ??」
K島は昨年、マジョルカまで足を伸ばしてナダル、それに昨日の得点者、カメルーン代表のエトーを見ました。ナダルの存在感はさすがでオーラすら感じたけれど、まさか35歳で代表はるとは思わなかった。今日の相手はパラグアイ・サンタクルス、彼を止められるかどうかで、今後の見極めができるのではないでしょうか。
さて、質問に答えてくれた熊丸さんは同好会時代のK島の先輩。今から30年以上前に「体育会サッカー部はマネージャーならいいけどボール蹴らせてもらえない、自分がやりたいので同好会を選んだ」という女傑。人数が奇数だと柔軟の背中を押すこともいとわず、K島はよくパスの相手もしてもらった記憶があります。マネージャー業務はこの人の指導でしたので、毎日のように連絡取っていました。おかげでお母さんと「声友だち」になってしまい、昨年久しぶりに連絡したときも憶えていてくださいました。彼女はその後年下でおとなしいスペイン人ホアンちゃんをたぶらかして結婚、現在はマドリッドに住む2児(双子)の母。西沢選手の現地母もとしてもご活躍でした。
6/10 ナマ観戦記2:日本vsロシア「横浜での歴史的快挙に立ち会う」
後半、スコアボードの時計に何度目をやったことだろう。残り25分を切ってからは、プレーの切れ目になるとどうしても視線が向かってしまう。サポーターといえども「ともに戦う」存在。日頃は歌わない「君が代」も歌い、まなじりを決して手を叩き、声を出し、立ち上がり、ピッチの11人を支えたつもり…
このロシア戦のチケット、闇値段は17万だったという。ひょんなことから、観戦が可能になったとき思ったのは「責任あるなあ」だった。韓国が何度も挑んではね返された「一勝」の壁。それを乗り越えるには、戦術や選手の奮闘もさることながら、会場の雰囲気作りはゼッタイに欠かせない。こと日本代表の試合に限っては「観戦」というより「参戦」という表現が正しいだろう。K島なりに「参戦」したつもりで、本当に勝ててよかった。スポニチで金子達仁さんの原稿を読んだら、サポーターのこときちんと評価されていて嬉しかった。おかげで、本日はボロボロですけどね。
中田浩二からのアーリー(でもなかった?)クロスにほど近い、メインスタンド1階席、コーナーフラッグあたりにいたんだけれど、いろいろな思いが去来していた。ドーハの悲劇はもちろんだけど、クリアーといえば石神選手だ。当たり損ねが、見事に韓国へのパスになってしまったあの試合、国立にいたけれど、昨日ほど声を出せていなかったんだから、こちらにも責任はあったんだなあ。最後の15分、必死のクリアーだって、昔に較べたら安心してみていられた。けっこう味方のいるポジションに蹴れていたし、スペースの消し方が上手だったから。球技における守備の技術っていうのは、身体能力もさることながら、危険な確率の低い方へ誘導する頭脳戦なんだ。攻撃は才能、守備は頭脳、そのへんがとっても上手くできていたと思う。
観客席は天井桟敷が好きだ。ピッチの全体が見渡せるので、チーム戦術もよくわかるし、選手のポジション取りの巧拙も見える。下敷きに砂鉄を乗せて、下から磁石をあてがって遊ぶように、選手達が動くのが美しい。そして入場料も安い。日本よりサッカー先進国であるスペインのスタジアムはどこも急傾斜に作って、俯瞰するスポーツとしてフットボールを提供している。他の欧州諸国も同様と聞く。昨年コルドバの日本:スペイン戦を見に行ったとき、視察に来ていた代理人やVIPの人たちと並びの席だったが、当然のようにメインスタンド2階の上段であった。比較して横浜国際競技場のスタンドの傾斜はゆるく、やっぱりサッカー文化の未熟さを感じる。「ここで決勝か」と思うと少し情けない。村松知視さんだっけかのプロレス観戦の極意に「2階席最前列がbest」というのがあったが、ここではいったいどこなんでしょうね? とはいえ日本がらみの試合は「観戦」ではなく「参戦」なのだから、声の届きやすい席がbestなのかもしれないけどノ
それにしても「ワールドカップ効果」というのはすごいものだ。昨日行われた西東京市リーグ、いつも11人ギリギリで試合を成立させている我がタートルズも19人集合。毎日熱の入った「真剣勝負」を見ていると、思わずやりたくなっちゃうのでしょうね。K島はメンバー表提出のみ参加、夜のビッグゲームに体力温存です。早めに着いたので、ラーメン博物館やらで時間をつぶす。6時ころゲートの行列に並ぶと、前方に見覚えのある「薄毛巨頭」を発見! 栄光学園、上智イーグルとゴールの守護神として活躍したロシア通、廣瀬裕敏さんでした。彼はK島より後輩なのですが、その押し出しはどうみても先輩で、つい敬語になってしまいます。まわりにロシア人がたくさんいたので「アテンドでいらしたのですか?」と尋ねると「たまたまですよお」との返事。困ったらこのロシア通にまかせればいいやとばかり、K島の知っているたった2つのロシア語「千葉水郷」と「丼ウオーター」(ツィパシーボ=ありがとう ドゥブロウェウートロ=おはようございます)でロシア人につっこむ。このために?着てきたセルタのモストボイネーム入りユニフォームの威力もあって、しばし夕焼けロシア語教室に。
そうなのです、この日の勝負服はセルタの水色ユニフォーム。非国民と非難されるのを覚悟で、テニス仲間の田下実さんから借りてきました。いちおうブルー系の色だし、相手の指令塔も日本代表を応援するという設定もいいかなとノ それよりなによりK島はみんなが同じ色に染まってしまうのは主義に反するのです。この日の客の6割は代表ユニフォームのレプリカ、ブルーに会場を染めることに異議はないけど、同じ色、同じ服っていうのだけはなんとなくノ 高校時代に「制服廃止」の運動に参加したこともあったしね。っていうか、そういう「わけのわかんないサポーター」も飲み込めるような、太い流れであってほしいと思っています。というわけで「非国民」に走ったK島でしたが、別に誰からも糾弾されず(正確には「あれセルタのやつだよ」というひそひそ声を一度だけ背中で聞きましたが)、仕掛けは空振りに終わりました。観戦予定はあと2試合スペインのときは赤黒に決めている。もう一つはジャパンブルーのレプリカ(前出の田下さんからもらった)にする予定、国外だと少しは素直な気持ちになれるんだ、これが。
評論家ではないのですが、試合としては中盤を制したのが勝因でしょうね。中田ヒデあたりが、スッと正面を向いて配球するシーンとかが結構あったから。みんなが空いたスペースを作ったり、探したりして、なおかつそこへ走り込む受け手と、パスをする送り手との暗黙の意思一致が、少なくともロシアに較べれば上だった。ただ勝負所のピンポイントパスが上がりすぎで、「グラウンダー!」と何回も叫んだ記憶がある。現実、低いパスから先制点は生まれた。よかったよかった。予想ではオノプコ衰えたり、なんて書いてあったけどそうでもなかった。ゴンとの壮年どうしの競り合いは勝ってたし、スキを作ったのはホントにあの一瞬だけ。ベルギー:ロシア戦はロシア乗りです。あとなにより問題は次のチュニジア戦、力の差はたいしてありません。勝ちびびりしないで戦えるかどうかがカギです。
以下余談です。
・ベッカムのPKは蹴り損ねだと思うんだけどノ
・黒い井出らっきょ(ロベカル)の27メートル弾丸フリーキックに感嘆!
・釜山でナイスゲームが多いのは、釜本・杉山から2文字をとったから
6/11 予選リーグも最終戦、緊張感が違う!
今日は生き残りをかけて前回覇者フランスが登場する。「一発退場」レッドカードをくらったアンリは出場停止だが、あのアンリにもヘデイングという弱点があったとは知らなんだ。ヘデイングか、巧い人とそうでない人の差が一番ある技術なんだけど、それにしてもねえ。面白いのは、背が高いからヘデイングが得意かというと、いちがいにそうでもない。秋田とかカンナバーロとか(同列はちょっとヨイショだけど)170センチ台でも、強いヤツは強い。
当時(今も?)東大サッカー部のコーチをしていた吉田隆さんに面白い話を聞いた。吉田「K島さんは、ヘデイングの競り合いの時どんなふうにやってますか?」K島「競り合って勝てるようなヘデイングの持ち合わせはないから、まあ、腕からめるとか、さりげに腰を当てるとかして自由にやらせないくらいかな」吉田「一緒に飛んだときに、相手の手の甲を叩いてやるんですよ。人間って微妙なとこでバランスとってるから、手を叩かれるとジャストミートにならないんです。手の甲叩くくらいじゃ反則にもならないでしょう」なるほどねえ、と思ったが、その後実戦で試した記憶がない。なんでかと思ったら、手方コーナーキックのときK島の定位置はゴールの中、ポストの横なのであった。
ヘデイングは才能である。もちろん努力もあるんだろうけど、天分には勝てない。イーグルの1学年下に中峰勇二さんという達人がいて、同好会レベルでは無敵の制空権を誇っていた。農作業用の地下足袋シューズで蹴る上沢信男さんという先輩のコーナーキックが、いつもぴたっと合って、セットプレーが得点源になっていた。サブにも入らないK島は四谷の土手で観戦しながら「そろそろ例のヤツが出る頃かなあ」と思うと、ゴールネットをゆすることが多かった。もう一人、都立石神井高校の1学年下に、渡辺順一さんというのがいて、ヤツのヘデイングもすごかった。40歳になっても同じくらいの身長の若者相手に競り勝っていたっけ。いちおう高校時代は国体少年の部・東京代表のCBだったんだから強くて当然なんだけど、40歳のころは脚もとは空振りしたりして不安になってた。それでも頭だけは衰えていなかった。ジャンプ力とかは落ちてるんだけど、自分の打点を想定してその領域を制するのがコツみたいだね。この2人年齢も同じだし、一度競り合わせてみたかったんだけど、中峰さんはアキレス腱切ってサッカーはしていないらしいし(だいいちバンコクにいってるし)、渡辺さんもこのところサッカーシーンでは観客席以外会えない。やっぱり企画ものは思いついた時にやっておかないとダメだな。
昨日の目玉試合はアメリカ対韓国。スケート・ショートトラックの得点パフォーマンスとは凝ったものだが、惜しむらくはアメリカ人ってワールドカップ見てないんだよなあ。しかし韓国はbest16をかけてポルトガルと戦うのだから大変だ。それに較べるとチュニジアに1点差負けまでなら許されてる日本はラクなんだけど、「窮鼠猫を噛む」の例えもあるように、何が起こっても不思議のないのがフットボール、そしてワールドカップ。参加32カ国で総当たりリーグをやったら上位の国を当てるのは簡単だけど、トーナメントだけになにが起こるかわからない。前出の吉田さんいわく「日本のサッカーが強くならないわけはトーナメントが中心だからです。負ければあとがないシステムだと、どうしても負けないサッカーに走ってしまう。DFを厚くして速攻狙い、結果テクニシャンより早さ強さのある選手を重用する傾向になる。サッカーはリーグ戦でやるのが本筋、そのほうが面白いサッカーになるはず」 なるほどねえ、中村俊輔がマリノスユースに行けなかった例もあるし。
さあ、今日からは予選リーグ第3戦、今回は通過・不通加確定チームが少ないから大変だ。K島が観戦予定のソギボ、スオンの試合に登場するチームも今日、明日で決まる。
6/12 マニエル・パブロが見たかった
編集部にいたころ、座付ライターをしてくれていた鬼塚尚子さんからメール。彼女はいま大学で講師やってるけど、この拙文を授業で配布したっていうからあきれた。光栄ですが「いいのかね」ってのが感想。以下引用。
「おにです。K島さんの日記、好評です。(無断で申し訳ないですが)慶応の授業とかで配布して楽しんでいます。ところで、稲本騒動に関連して、連日UKYahooをチェックしていますが、掲示板は何処の国も同じレベル、本当にひどいです。アジア系に対する嫌悪感(日本人の茶髪もすごい不評)、韓国人・中国人の英語による日本批判(日本人は英語が下手なのであまり参加していない)。その偏見や嫌悪感の源泉は、やっぱりいまだにWWから来ているようで、サッカーに対する歴史や戦争の影響が色濃いことを再認識させられます。また、イギリス人はフランス人が嫌いなようで、フランスの敗退は喜ばれているようです(これはWWどころじゃなく、長い対立の歴史に起因しているのでしょうが)。そう考えると、中津江村だとか、道頓堀ダイブとか、日本人って随分ほほえましい国民であるように思います。全然世界の目を疑ってなくて、かわいい!」
まあ、前回フランスではヒデ1人だけが金髪だったのが、ベルギー戦なんて先発はボウズの小野以外全員色つきだものね。アルゼンチンの長髪も???だけど。考えてみれば、そうやって外国をまねしながら学んできた明治人のDNAが染みついているのかもしれない。ちなみに「学ぶ」とは「真似ぶ」から転じた言葉だって大学の「教育なんとか」の授業で教わった。欧州、とりわけイングランドにとっては「おらが国さのスポーツを田舎もん(アジア・アフリカ)には荒らさせない」みたいな意識があるのでしょう。日本の相撲だって、ガイジン力士には辛く当たってるじゃないですか。
小学校の時、長谷川清クンという同級生がいました。勉強はきわめて苦手なようで「おいK島よう、この問題の答え教えてけろ」みたいなやりとりがしょっちゅうでした。おまけに遅刻の王様で、廊下に立たされるのも得意技。しかしこの清クン、運動会の日だけは違います。がたいはいいし、足も速いので各競技の花形です。騎馬戦、徒競走、リレーのアンカー、1年をこの日のために生きているかのごときの大活躍です。当然、区の連合運動会にも学校を代表して参加、晴の大舞台、その日は遅刻もなくリレーの第3走者としてトラックに立ちました。ああ、しかしコーナーを回るとき勢い余った清クンはラインを踏み越えてしまったのです。当然の失格、「やっちゃったあ」頭をかきながら学校に帰ってきました。昨日、カメルーンの敗戦を見ながら、彼を思いだしていました。身体能力の高さを生かし切れないもどかしさ、おおらかさゆえに勝負に辛くない(辛くなれない)気性。それでいて憎めないキャラクター。アフリカチャンピオンは予選で姿を消しました。
いよいよ今週末は、韓国遠征です。昨年、日本でのチケット入手に難航していたころ、いつもお世話になっている旅行代理店の山本鈴代さんから連絡が入り「韓国開催の試合のチケットなら手にはいるけど行きますか?」とのお誘い。実は4年前、フランス大会への「参戦」も少しは考えたのだけれど、「参戦」希望者のあまりの多さにあきれてやめました(国内ではレプリカユニフォームを着たくないのと同じ理由です)。韓国なら週末利用で行けるし魅力的なカードも多い。今回応援するスペイン代表を見るには行くしかないわけで、一も二もなく誘いに乗りました。日記をお届けしている方のうち何人かはお誘いもしました。結局、本人を含め10人ほどK島ルートで渡韓することになりました。K島の場合はbest16の2試合とAIR、ホテル、送迎全てで180,000円強、KCIA経由?といわれるチケットは1試合ぶんはすでに手元にあります。明日、もう1試合ぶんが届く予定、楽しみです。事前予告しておきますが、そんなわけで6/15〜6/17は日記もお休みです。帰ってきたらナマ観戦記3と4韓国編をお届けします。
スペイン代表で見たかった選手が1人いました。マニエル・パブロです。ナマ観戦の場合、誰か1人を追っかけて見ることができるのも楽しさの一つです。K島の場合、別にもうサッカーを上達しようという気はないけれど、ついつい自分のポジションの選手に目がいってしまいます。マニエル・パブロはスペイン代表でも、所属するデポルテイーボ・ラコルーニャでも4バックの右サイド、いわゆるライトバックに位置します。K島もそこしかできません。だから、レベルは違えど(どうでもいいけど違いすぎるね:苦笑)「ポジションのこころ」みたいのはわかるんですね。まして4バックだとなおさら・・・
マドリード市内とはいえ、ややしょぼいラージョバジェカーノのカーサで行われた、デポル:ラージョ戦、急傾斜のスタンドから、マニエル・パブロのプレーに目を凝らしました。中盤が詰まったときにはすっと顔をを出してタマをつなぐ。チャンスと見ればオープンスペースに走り込み、タマが来なくても相手のマークを引きつける。そして逆襲されるのを察知すると自陣に引く早さ。運動量もさることながら、動きに無駄がない。DFの場合、どうしても相手との対応があるから、ひーひーいわされがちなのですが、彼の場合逆にアタッカーをコントロールするようなポジショニングに見えました。ああいうのを偏差値の高いフットボールっていうのでしょう。これでイケメンだったら世界のメデイアもほっておかないのでしょうが、25歳にして頭髪はジダンより少ない(多少はある、田坂よりは・・・)、見栄えはしない、というわけでさほど知られてはいないでしょう。しかし見たかった。昨年秋に試合中大けがをして、出場を棒に振ってしまいました。今回はそれだけが残念、ましてbest16で当たるであろうアイルランドは快速系なので、速さをヨミで殺すシーンを見たかった。ま、いつか機会があったらリーガエスパニョーラで見てやってください。頭髪の特徴ですぐわかりますから。
ワールドカップ期間中、近藤篤さん(イーグルの後輩)の写真展を、なーーんと「ビスボッチャ」(超おしゃれなイタリアンレストラン=白金)でやっていることが判明しました。試合のない夜は限られています。大事な異性の友人を連れて行って、知り合いとバッテイングしても知らん顔しましょうね。
6/13 大本命アルゼンチンも敗れる!
アルゼンチン、ボカジュニアーズびいきの主婦山口恵子さんからのメールです。「バティのいない決勝Tはもうつまんない。今涙がとまんないよ。あとは日本代表を気楽に応援します。もう、どこが優勝しても同じかな。ブラジルじゃなければドコでもいい」ガックシ・KEIKO
このオバチャン、現地までボカの試合見に行ってるんだからもう筋金入りのアルゼンチンフリーク。お気持ち察して余りある物がありますが、しょうがありません。昨日モネールも言ってたように「シャーマニーで会いましょう」です。かくいうK島も、昨日はガックリきたなあ。スウエーデンが強いことはわかっていたけど・・・ アルゼンチンとフランスが消えたぶん、新しいチームが見られるっていうわけだから、それに期待することにしよう。それにしても地域差がなくなってきている。ボスマン選手は偉大だった。(ボスマン判決というのがあって、それ以来、欧州の選手の国外移籍が自由になった。よってレベルの高いリーグのフットボールが他の小国にも伝搬した)。フットボールひとつとっても地球が小さくなっていることがわかる。ちなみにブエノスアイレスの地下鉄は丸の内線のお古、懐かしい赤に白ラインが走っているそうです。
K島は昨年講習を受けて、4級の審判資格取りましたが、昨日のクレスポの得点はおかしかないか? オルテガのPKのとき、蹴ったときにはもうオルテガの背後3メートルくらいまでエリアに侵入してたぞ。笛吹いた瞬間からインプレーでも、エリア侵入はボールが動いたときからじゃなかった?で、仮に反則だとすると、どういう処分になるのかなあ? 蹴り直し? でも外れた場合どうなる? ご存じの方いらっしゃったら教えてください。
週末、見に行くカードが決まった。土曜がドイツ:パラグアイ、新旧のGK対決だけど今回のチラベルトはどうもいただけない。ただ新戦力のFWが速いんで大国ドイツも苦しむでしょう。パラグアイには勢いもあるしね。前回best16のところでフランスをさんざん苦しめた試合は、K島の見た限りフランス大会でのベストマッチだった。今度はドイツだからもう少し攻めることもできそう。パラグアイの肩を持つ気はないけど、応援は少なそうだからどっちかというとパラグアイ乗りかな、南米勢がブラジルだけじゃ寂しいし… なにより守りのしぶとさ、したたかさをこの目で見たいから。
日曜はスペイン:アイルランド、昨日のスペインいかがでしたか。なかなかの好チームですね。価値観が一つになってるようなのでイケル・カシージャス(=GK)でしょう。(駄洒落はやんない方針なんですが、今回は勝ち点9に免じてお許しください) ただなあ、アイルランドもしぶといから大変。豪雨のなかの試合になって「サイパンで合宿した成果が出た」なんて言ったらロイ・キーンどんな顔するんだろう。懸案のおっさんDFが若手アタッカーをさばききれるかな? ナダルの代わりにエルゲラ使ってくれェ。
というわけで東西の横綱抜きの場所になりました。本日はカド番大関・イタリアの登場です。
6/14 チュニジア戦、キックオフ迫る!
イタリアが薄氷の本戦トーナメント入り。いつも予選はこんなカンジの国だから驚きはしないが、営業的にはイタリアは欲しいところだったでしょう。日本ラウンドのほうはフランス、アルゼンチンが消えてブラジルがダントツだけど、韓国ラウンドはミニ欧州選手権になりますからね。これで日韓が16強に入れば大会としては合格、つうことなんだろうけど… 問題は中味です。なにしろ、78年までは16カ国でやっていたわけで、実はここからがホントのワールドカップ。観戦するほうも気合い入れていきましょう。
そして今日は注目の日本代表:チュニジア戦。今回、日本がいかにホームの利を生かしているかというと、予選の試合間隔にも明らかだ。ロシア戦のときは、日本が中4日に対しロシアは中3日、チュニジア戦にしてもチュニジア中3日に対し日本は中4日。さすがにこの先はうまくいかないが、FIFAが「開催国にとってBEST16はMUST」という以上、そのくらいはしてくれているわけだ。それにしても1位通過した場合の相手にはけっこう恵まれた。まずトルコ次がスウエーデンかセネガル。キリンカップにちょっと強豪を呼んだかな、程度の相手。とはいえキリンカップは花相撲みたいなもの。そう簡単にはいかないだろう。しかし抽選によってはこの3カ国と予選リーグになっていてもおかしくなかった。だったらどうだったでしょう? コテンパにやられたセネガルが一番イヤかな、スウエーデンも高さがあるから怖い。そうなると1回戦でトルコっていうのは恵まれた組合せだろう。ハカン・シュキュールのデータは中田ヒデがもっているし…(逆も言えるが)それも1位通過したらの話で、これだけはやってみなくちゃわからない。それより今日のチュニジア戦、長居競技場のみなさん、応援しっかり頼んまっせ。
応援といえば、昨年、はるばるスペイン・コルドバまで日本:スペイン戦を見に行った時の話。日通旅行に800円の券を10000円で売りつけられたのにも呆れたけど、全ての席にビニール製のスペイン国旗が置いてあった。もちろん無料、併せてタブロイド判の新聞(16p)もあり、選手紹介やら相手チーム(日本)の最近の試合ぶりやらが書かれていた。そういう粋なことに、なんで気が回らないんだろう。仮に提案したとしても、JAWOCなんてお役人の集合体だから「その予算をどこからもってきましょうか」なんてとこで滞っちゃうんだろうなあ。新聞紙くらいの大きさで片面はブルーに白抜きで記事を書き込んで、片面は日の丸にして全員で使えば応援も効果上がると思うけど。これって電通さんあたりの仕事でしょう、直接カネにつながらないこともしっかりやろうね。
世界各地、ワールドカップについてはイロイロな見方があるようです。オランダ在住(残念っだったね、予選敗退)ダッチワイフの山木直美さん(オランダ人と結婚すればダッチワイフですね=イーグルの後輩マネージャー)の話「オランダでもWW2の影響でドイツは絶対応援されません。ドイツファンなどと言おうものなら村八分になってしまいます。フランスは「高慢だから」嫌い、イングランドは「サッカーが面白くないから」嫌い、「アルゼンチンは78年大会で負けたしずるいから」嫌いと、勝手なことを言う人がいっぱいいる国です。ヒディンクさんの韓国は人気がありますよ。あと、「かわいそうだししょうがないか」ってかんじでベルギー」かわいそうだからっていうのがいいですね。
昨日の質問、クレスポのPK時エリア内メ早漏モ侵入について、3級審判員、岸卓巨(都立小石川高校サッカー部)クンの見解。「この場面ではオルテガが蹴る前にクレスポがペナルティーエリア内に入り、キーパーがはじいたボールをシュートしているのでゴールは認めず、クレスポがシュートした場所からスウェーデンの間接フリーキックにするべきだったと思います。この行為だけではイエローカードの対象にはならないでしょう。別のパターンを考えると1オルテガが蹴ったボールがそのまま入った場合_キックを再び行う2オルテガが蹴ったボールが入らなかった(アウトオブプレーになった。キーパーがはじいた、キャッチしたなど)場合_そのままプレーをつづけるルールブックをお持ちの方は第14条をご覧ください。 この判定も含め今回のワールドカップには疑惑の判定が多いですね。試合中に目立つ審判はあまりよくないと岡田さんは著書に書いていました。でも審判という存在が注目されるのはうれしいな。ミスジャッジで目立たない審判になるようにがんばります」
問題は、セリエAとかプレミア、リーガエスパニョーラで審判がどんなふうに扱っているか。もあるような気がする。世界基準といったって、結局は欧州基準であっちの試合を見てると、たとえばファウルスローなんて、ほとんど取ってない。それにしても審判は酷いなあ、コリーナさんの笛だって結構イングランドびいきに見えたけど。
本日は「やった!日本」日記をもう一度アップの予定です。
6/14 「やった!日本」予選通過!
日本の「サッカー」をとりまく状況が変わったことが、予選通過につながったと思います。たとえばK島の所属する音羽健保では、去年から野球場を一つ減らして、そこはサッカー場に変わりました。リトルリーグより少年サッカーの人口はとっくに上回っています。たった6チームで始まった保谷リーグは、今では1部2部あわせて20チームの集う西東京市リーグになりました。神宮のテニスコートはフットサルコートに姿を変え、Jビレッジという夢のような施設もできました。そして屋根付きのスタジアムもたくさんできました。もちろん芝生のピッチは数えるほどしかなく、その環境は世界に較ぶべきもないけれど、それでもなんとかここまで・・・(涙) 結局、それはフットボールという競技のもつ魅力なのでしょう。1人のスターよりも11人の意思一致が必要、さまざまなキャラクターが集うところにアイデアが生まれる。世界基準のスポーツだから社会科の勉強にもなるし、旅の楽しさも倍加する。なによりパスがシュートが美しい。あと何年生きられるかわからないけれど、このスポーツとつきあって生きていこうと思っています。
日本代表予選突破の日に:K島記す
6/18 ナマ観戦記3:ドイツvsパラグアイ「済州島のんびりリゾートカップ」
ナマ観戦記4:スペインvsアイルランド「石橋を叩いて壊した監督」
チェジュ=済州島へは2時間ほどで着いた。機内はほとんどW杯観戦モード、ただしドイツの服はちらほらと散見するくらいで、人気ないなあ。鹿島がアルゼンチンユニフォームで埋まり、テレビで見る限りイタリア戦がアズーリで埋まったのに較べて、全然だ。WW2では手を組んで戦ったんじゃなかったのか? かくいうK島も平凡なjapanのブルー、1回くらい着てあげるのが日本人の意気ってもんでしょう。到着するやいなや、ガイドの辛さんが「ニッポンも予選通過おめでとうございます。きっと次も勝ちますよ。一緒にがんばりましょう」と熱い連帯の挨拶。「韓国もよかったですね」とK島一行。「韓国のハワイ」と呼ばれるチェジュは、まだ梅雨にもなっていないようで湿度も低く快適な気候、風さわやか。試合会場は空港とは裏側のソギホで、そこまでは小一時間のドライブ。このドライブが神風マイクロバスでガンガン行く。路上では警官が交通規制しているのだが「警官と知り合い、この島は小さいからみんな知り合い」と勝手に左折しスタジアムの正面まで送り届けてもらった。
スタジアムはこの大会のために新設されたもので、ホタテ貝を意識したようなデザイン。急傾斜のスタンドの先には大海原が見える。リゾートにあることも手伝ってか、観客ものんびりした雰囲気、というか客の入りもあきれるほどパラパラだ。カテゴリー2で入った我々も「バカと煙はなんとやら」でどんどん中央の高い席にと移動する「ここならタバコも吸えるね」と同行の吉田輝クン。試合前にスーベニアショップを覗いてみた。日本会場と違って行列が混んでないので助かる。ここではキャップが1000円、タオルマフラーが600円、たぶん日本会場より安いハズ…
「モノが違う」と日本側は言うだろうけど記念グッズなんて「モノ」を期待して買うわけじゃないでしょう。もちろん出店料とかいろんなものが上積みされてその値段になるんだろうけれど、かくて日本経済は国際戦争で敗れていくという実例が、ワールドカップ会場でも発見されるという好例のように思います。
試合のほうは、みなさんもご覧になったように、老舗が看板力で勝ったというかんじ。「柳に雪折れなし」的なパラグアイの守備だったけれど、三越と忠実屋くらいの差があるカードだったように思います。次がアメリカということになったけど、再びWW2ですか。ドイツを見てるとワールドカップには独自のメ格モがあるのかなあ、という思いにも駆られる。欧州選手権、予選での惨憺たる成績と今回のそこそこの強さ(運の強さ、というのもあるけど)を結びつけるには、そんなとこじゃないかと思うわけです。あちは4年後を見据えての胎動か・・・ とにかく試合のほうは「チェジュ・リゾートカップ」くらいのタイトルがふさわしい試合でした。小さな街だから、飛行機の便も少なく、それも大量動員を妨げた原因でしょうね。
というわけで「口直しに美味いモノでも食おう」ということになり、中文観光団地にある日本料理屋へ。ヒラメや鯛の刺身、サザエ、鮑といった海産物で舌鼓、おいしかったけれど画竜点睛を欠くのは醤油がイマイチ。自信満々、機内食に付いていたサカナの形の醤油いれの腹を押してはみたが、「大韓航空」だったのを忘れていた。全く同じ韓国系の醤油でガックシ… みなさん、韓国で刺身を食す場合は日本製の醤油とワサビをお忘れなく! 刺身のほうは70点のできだったが、翌朝の朝食は100点取れたのでその報告。早起きしたK島はチェジュの街をお散歩、日曜の午前8時、にぎわっている一角を発見し足を向けたのは大好きな「市場」。魚屋には当地名物の小鯛やスルメイカ、タコ、甘鯛などが並ぶ。肉屋の店先にはこれ見よがしに豚の頭がまんま鎮座している。どこかに食堂はないかと探すと、ありました。チェジュのおばちゃんが一人で切り盛りしている。客も4人ほど、この客がいると言うことが大切で、言葉がつうじない、読めない、コミュニケーションの手段がないときのメニューオーダーは他人の食べてるものを「指さしおねだり」これっきゃないのです。そして食べたのが甘鯛の干物定食。白菜のみそ汁、ナムル、キムチと小魚の佃煮ふう、それに玄米?入りのご飯がついて350円。野菜が多いのが嬉しい。やっぱり市場の味は格別です。
そのチェジュを12:00過ぎに出るとソウル到着は13:00くらいだったろう。もちろんこの便もワールドカップ行脚のフットボール教信者だらけ。飛行機の中からアイルランド人が目立つ。この日が観戦最終回のK島はスペイン応援の意思表示として、グレーのバルセロナ・セカンドジャージ。背中にはk−jimaのオンネームで背番号00。最近復興した我が社サッカー部のユニフォームで、もちろん「スペイン」のタオルマフラー持参である。しかし、こんなに他国を応援する人が多い国って珍しいでしょうね。ドイツ人がイタリアを応援するわけないし、フランス人がセネガルを応援するって話も聞かない。なのに日本って、たとえば昨日のブラジル:ベルギー戦でも、セレソンのユニフォームだらけ。あれが全部ブラジル人のわけないから、にわかブラジルファンなんでしょう。強い方についちゃうところがちょっとイヤだ。粋じゃない。
ソウルで少し時間があったので、南大門のファッションビル・フードコートにてプルコギで腹ごしらえ。すると隣のビヤバーから歓声と拍手が聞こえてくる。なんじゃらほいと覗けば大画面でセネガルvsスウエーデン戦をやってるじゃありませんか。早々に食事を切り上げそちらに席を移すと、もう延長戦突入寸前。結局セネガルにゴールデンゴールが生まれるのはご承知の通り、セネガル強いです。ここで隣り合った外国人グループはセネガルとスウエーデンどちらの攻撃シーンでも盛り上がる。というかどちらを応援しているのかはっきりしない。思わず「Where do you come from?」K島が尋ねると「From USA」ときたもんだ。なるほどUSAね、それにしても不毛の地からもサポーターは来るもんなんだ。
で、水原にむけて6:00出発。競技場のそばにある「外国人用駐車場」はなんと学校の校庭でした。そこから歩いて5分ほどでスタジアムに。さすがにチェジュよりは観客も多く、ソンブレロをかぶったメキシコあり、トルコもクロアチアもいて、ミニ万国博状態。もちろんスペインもいるにはいるが、応援勢力はアイルランド強し。観客席はスペインのチームカラーである赤も多いのだけど、ほとんどが韓国の赤であって、逆に緑のアイルランドが目立つ。鳴り物あり、巨大国旗ありで圧倒的。スペイン勢はメインスタンドの一角に赤と黄のバーを振り回すチームがあるがそこだけ。太鼓でおなじみマノロおじさんは来ているのだろうか?
いちおう、スペインサポーターとしては、「赤」を一カ所くらい身につけたいモノだと考え、持参した赤覆面を被る(写真参照)。シャイなK島でも、これなら心おきなく応援できる。チケットは例によってカテゴリー2だが、空席を見つけて中央に移動するのは定石。バイロム社の海外販売分だったと思われる巨大なあきスペースに座ったのだが、試合開始15分くらい前になったら、女子中学生の一団がチケットなしで攻め込んできた。空席隠蔽のための動員なのでしょう。よって周りは処女ばかり、それはいいのだが、こいつらサッカーに興味はたいしてないので試合中にうるさくて困った。応援コールも乗るのは「デーハンミングッ!」のときばかり。試合のヤマ場でも、ゲームそっちのけでウエーブに夢中。これだからアジアのお客さんは困るね。あんまりよく立ち上がるんで、オジサン怒鳴るあるよ。「ぐちゃぐちゃやってないで試合見ろよおまえら!」怒鳴ったら、我々の目の前からひとけが消えちゃった。赤覆面効果ってやつですか。
試合については、ご存じの通り。カマーチョ監督石橋を叩いて割っちゃった。ルイス・エンリケなんて後半の途中から走れなくなってたのに気がつかないのか、相手をナメたのか。試合を苦しくした原因は何といってもオフサイド取られすぎ。DF一筋の人生やってると、FWのオフサイドにはホント「いい加減にしろ」と言いたくなるもの。ましてやラウールなんて、切り札なんだからちゃんと確認してくれえ、である。記事とかを読むと「審判が…」みたいな論調だけど、我々の席から見ても明確なオフサイドも多かった。その昔タートルズに八幡尚志さんというFWがいて、実によくオフサイドをやってくれました。ヤツの場合、足が遅いせいもあって、そうなるんだと思うけど、うしろのほうにいる身分としては、やっとのことで押し戻したのに、また相手のフリーキックではあまりに辛すぎる。そうこうするうちに、信用する心が希薄になり流れが相手チームに移る、という体験はDF経験者なら、少なからずあるでしょう。
PK戦のときは、現場じゃなきゃわからないことが2つ。しくじったファンフランを同じサイドバックのプジョールが慰めに行きました。プジョールは、動けなくなったルイス・エンリケのぶんをカバーして守るなど、この日は大活躍でした。あとスペインが5本目を蹴るとき、ルケは「もう見られない」とばかりに後ろ向きで手を合わせていました。彼まで順番が回っていたら、たぶん外してたと思います。もっと書き込みたいんだけど今日はここまで。
6/19 ヒディンクという名のドープ
あのまま1:0で逃げ切るのがイタリアのおなじみのスタイルで、それでこそワールドカップなんだけど、ひっくり返したんだもんなあ。その昔ファイテイング原田がキングピッチを倒した試合と似てた。後半になればなるほどルーズボールへの寄せ、ハイボールへのポジション取り、すべて韓国が上回っていた。ヒデインクの采配もすごかった。(「巧かった」というより「すごかった」だと思う)攻撃の選手をドカドカ入れて、なおかつ選手に「火事場の馬鹿力」を引き出して見せた。トルシエとはモノが違う。このあとのスペイン戦とかも見てみないとわかんないんだけど、選手に信用されてるよね。「このおっさんの言うこと聞いて、あかんかったらしゃあない。そやけど、このおっさんを男にしたろやないか」みたいな気概を、韓国選手の1人1人の動きに感じたのはK島だけではないでしょう。高沼英樹さんから「がっかり」というタイトルでメールが入っていました。彼は埼玉のSFのチケットを持っているので、そろそろカードも気になるようです。
「日本代表ベスト16あまり期待していなかったが、よくやったと言っていいでしょう!しかし、トルコ戦はかつての代表を見るようでとてもイライラした。第1ラウンドは、トルシエらしさが消えていたので、ほっとしていたのですが、第2ラウンドで突然トルシエらしさ噴出!サポーターもお祭りが好きなだけ。あー、韓国がうらやましい。また、韓国が先に行ってしまった。日本がワールドカップが夢のまた夢の頃、負けてはいても韓国はワールドカップで真剣勝負をやってとてもうらやましかったことを思い出しました。ところで、すでに2006年のことを日本のテレビではいっていますが、予選を戦わねばならないことをわかってるんでしょうか。しかも、ワールドカップでベスト8に入った韓国が最大のライバルです。まあ、すべて一つ一つの積み重ねですから、トルコ戦のことをとやかく言ってもしょうがないけど・・・。最後は、日本らしく終わった。韓国らしく戦ったということですね。国民も含めて。ヒディング監督はやっぱり一流監督ですね。しかし、審判もゲームを壊さないでほしかった。トッティのダイブに2枚目は、今回から厳しくとるとはいってもゲームが死にました。もちろん韓国の選手のスピリッツには感銘を受けましたが・・・。まあ、やっとワールドカップが始まったという感じですが、セネガル対トルコの準々決勝って1試合もったいなくない?
基本的に同感です。だから今日の日記には日本のことは書かないのがスジだと考えました。あの試合で満足するほど甘くはありません。やっぱりmustであるところのbest16をクリアーして、ゆるんだ部分があったのではないでしょうか。それともツキを使い果たしていた? 木之元のおっさんあたりが中3日だからノなんてコメントだしてたけど、2位通過だったら中2日だったんだぜ。前にも書いたけど予選通過でオッケーみたいなスケジュール組んじゃったJAWOC=協会がアホなんと違う? 国立で見ていた井山夏生さんからは、「トルシエのスーツは雨で濡れてない!ってブーイングが上がった」という報告がありました。トッテイのダイブを取ったのは一緒に見ていた岸親子(2人とも3級所有)とも「あのシーンは流せばいいのではないか」という結論になりました。けっこう離れたとこから吹いたホイッスルだったと思うし。ま、あれこそ韓国サポーターが吹かせた笛でしょう。セネガル対トルコはチケット持ってる人は落ち込んでるだろうけど、こればかりは見てみないことには何とも言えないでしょうね。
さて、話を韓国に戻します。応援マフラーに「KOREA」ではなく「COREA」って書いてあったのに気付きましたか? なんでだろ? ビエリをヴィエリって書くようなモノかしら。韓国の小汀利得(古いなあ「時事放談」)みたいな爺が「KをCに変えるなぞもってのほか」って湯気立てていそうな気がするけど。ちなみに韓国サポーターが来ている「Be The REDS」のTシャツは700円です。FIFA公認のややピンクがかった赤のほうは少し高くて1200円。なんたってニセ物王国ですから安い方が普及しているのはテレビで見ても明確です。キムチの色に近いのも700円のほうですからね。でも決勝点アンジョンファンがマルデイーニに競り勝ったいうのも興味深い。セリエA・ペルージャでレギュラーを取れない選手が、ワールドカップ最長時間出場(だっけ?)の選手に勝てるというフットボールのおもしろさ。韓国チームでは機能してもペルージャでは機能できないのってなんなんでしょう。やっぱりコミュニケーションの問題?
松岡修造が初めてボブ・ブレットコーチについたとき言われたことは「世界の100位以内は技術は変わらない、順位は気持ちの持ち方で決まる」と言われたという。まあ、森島にリバウドみたいなシュートを打てといっても無理だろうけど、逆にリバウドはあんなクカラーチャ(ゴキブリ)みたいな動きはできやしない。そういう意味では韓国もイタリアも技術は変わらない? もちろん多少変わるけど、気持ちでカバー可能ということなんでしょうね。これから明らかになってくるんだろうけれど、ヒデインク監督は何を変えたんでしょう? 伝わってくるのは「体力不足を変えた」って話があるけど、現実にああやって体力勝ちに持ち込んだんだから、ホントにそうなのかもしれない。でも「体力」はあの国の自慢の部分だったはず。むしろ「ボールさばきや戦術への理解度において日本に差をつけられた」ってなことが言われていたわけですよね。K島の邪推は「技術についてはそこそこやれる、ただし短期間でのアップは難しい、だったらむしろ優れている体力の部分をより強化しよう」と考えたんだけど違ってる?さて韓国:スペイン戦は注目の大一番になりました。ラウール、モリエンテスで2点くらいは取るだろうけど、DFがペナルテイ取られて追いつかれるとムード悪くなるからなぁ。観戦予定の高橋論さんは、K島が託したスペインのタオルマフラーを「身の危険を考えてお返しします」と今朝返却してきました。たしかに韓国のスタジアムでスペインの応援するのはキツイかもしれない。
best8のうちセネガル、トルコ、アメリカ、韓国が、アルゼンチン、フランス、イタリア、ポルトガルにかわれば「いつものワールドカップ」 さすがにアジアでの共催はそうは問屋が下ろさなかった。おかげで多くのかたに参加していただいた「実力テスト」も、とりわけbest8当てについては大混戦。強豪国については5カ国しか選べない設定だったので、ドイツ、ブラジルあたりも外した人が多かった。ちなみに韓国を選んだ人3人、セネガルを選んだ人1人、アメリカにいたっては0人。たしかに難しいですね。
6/20 KOREAとCOREA
ホントは、今日はお休みのハズでしたが、昨日それを告知するのを忘れてしまったので書いてます。吉川浩史さんから「KOREAとCOREAの違いは「にほん」と「にっぽん」の違い? 気になってます。情報ありましたらすぐ教えて下さい」という質問があり、折りよく五島聡さんが、その経緯をご存じでした。
「結構有名なハナシですけど、今度のW杯の正式名称で、KOREA JAPANかJAPAN KOREAかでもめたとき、FIFAは「通常こういう場合、アルファベット順にするのが国際慣例」として、JAPAN KOREAを提案したと言われています。その後の経過はご存じだと思いますので割愛しますが、紆余曲折を経て日本が譲る形でKOREA JAPANに落ち着きました。韓国としては、このときのことがまだ忘れられないらしく、今後また同じようなことがあるかもしれない(というよりも、たとえアルファベット順といえども日本よりウシロなのはガマンできない)ということで、ならCOREAにしてしまえ!と、なかば強引に、しかも結構本気でCOREAに変えようとしてるみたいです。それとCかKかのハナシが出たついでに・・・韓国の監督は、ヒディングではなくヒディンクです。最後は濁りません。オランダ人の名前は発音がムズカシイですが(フリットかグーリットかってのもありました)どっちかっていうと、フース・ヒディングよりもグース・ヒディンクが近いようです。メディアでもヒディングって言ったり書いたりしてヒトが多いんで紛らわしいんですがね。一応、老婆心まで… 細かいトコつっこんですいません」
なんだか一休さんのとんち話みたいですが、そういえば上越新幹線「燕三条」の駅も「三条燕」との間でもつれて決着していましたね。ということで、また一つ韓国的な発想を勉強できました。さて、このことを教えてくれた五島聡さんはイラストレーター。同時にホームページもお持ちで、仙台に応援に行った様子もアップされています。昨日、読んでいて落涙しそうになったので、併せてご紹介します。
長かった・・・。4年前、リヨンのジェルランスタジアムで1-2でジャマイカに破れ、打ちひしがれて駅に向かう途中も雨が降っていた。あれから4年・・・そう、まだ4年しか経っていないのだ。
フランスW杯が終わった直後、ヒデがイタリアへと旅立ち、入れ替わるようにトゥルシエがやってきた。生で初めて触れたトゥルシエのサッカーはアルゼンチン代表戦だった。シドニーオリンピックを目指す若者達で構成された両代表が繰り広げるサッカー、特に果敢にDFラインを上げていく日本代表のサッカーに大きな可能性を感じた・・・そして、翌年のWユース決勝進出・・・この、ユース代表を中心にしたオリンピック代表・・・さらに、そのオリンピック代表を吸い上げる形で、アジアカップを制覇したフル代表。その間、ヒデの後を追うように、名波が、城が、西澤が、海外に活躍の場を求めて旅立った。さらにその後に廣山が、川口が、稲本が、小野が、高原が続いた。途中、紆余曲折はあったけれど確実にステップアップしてきたトゥルシエニッポン。親善試合ではテストを繰り返し、不可解な采配も見せ、メディアとの関係も最悪に近かったが、本番では必ず結果を残してきた。
思えば、自分も変わった。4年前のリヨンには、城や小村を悪し様にののしる自分がいた。何年もあと一歩のところで跳ね返され続けた経験。そしてやっとギリギリのところで掴んだその夢を、無惨にうち砕かれた感情のはけ口として、戦犯を捜し、ののしることで解決していた。その後、トゥルシエのサッカーに興味を持ち、出来るだけの試合に足を運び、本を読み、さらにイラストレーターとしてサッカーに関わるようになって、ホンの少しではあるけれど内部の情報も入るようになって、今までのサッカーの見方がいかにつまらないモノであるかが分かってきた。
「ざけんなよっ!」「なにやってんだよっ!」「トルシエ!国に帰れ!」昨日の試合でもこんな叫び声がまわりから聞こえた。しかし、選手はけっしてふざけてはいないし、力一杯サッカーをやっているに決まっている。そして、言われなくてもトゥルシエは国に帰る。一番悔しくて、自分が情けなくて、叫びたいのは、4年間ここを目標にしてがんばってきた彼ら自身なのだ。我々サポーターが彼らを前向きにさせなくてどうする?リスペクト出来なくてどうする?
自分は今、4年間このチームを追いかけられたことを誇りに思う。いいチームだった。面白いチームだった。サポーターとしてどうあるべきかも教えてくれた。しかしチームは解散し、今日から、また新しい4年間がはじまる。次にどんな監督が来るのかはわからない。おそらく選手の顔ぶれも相当変わっていくだろう・・。そうか、また長い長い4年間が始まるんだな・・・4年後のドイツの天気はどんな天気だろう?
そんなことを宮城スタジアムからの帰り道、雨にうたれながら考えた。
「やっぱりアーチストは違うなあ」とK島は思います。今回、日記を配信しようとした動機のひとつに五島さんのホームページがありました。フットボールにはいろいろな視点があっていいし、いろいろな視点のある国のほうが強い。それぞれの国が生んだフットボール哲学の見本市がワールドカップだと思う。そしてその哲学は、そのときの国の経済力やサポーターの志向、もちろん選ばれし23人の能力、監督の戦略とかみあって結果に結びつく。そういう意味ではこの日記もその末端にいるのではないか? ま、もちろん、それ以外の動機もたくさんあるんですけどね。そうそう、ヒディンクといえば、ダッチワイフ(日記11参照)の山木直美さんがこんなふうに伝えてくれました。もちろん彼女の表記はヒディンクですが、他の選手のカタカナ表記にも!!!の部分があります。
おっしゃる通りですね。PKを外したアンを替えなかったヒディンクさんと、柳沢に鈴木、稲本をベンチに置いたトルシエさんの違い、というところでしょうか。部外者・門外漢のこちらで見ていても(日本代表の事はほとんど知りませんでした、あしからず)選手との信頼関係の差がわかるような気がする。決勝トーナメント進出後、日本代表に気のゆるみが見られるとか、中田と小野のFKの際の笑顔はなんだとか、監督はそう思ってもプレスに言うべきことじゃないと思うけどなあ。。。 みんな頑張ってるんだし、決勝トーナメントの重みなんて監督に言われなくてもひしひし感じていたはずで、逆に萎縮させたのは監督の方、じゃないかと思うのですが。ここまできた代表を誉めたり励ましたり、あるいは個人的に注意したりはいいとしても、せっかく波にのっているメンバーに冷水をかけるような発言、というのかなあ。。 ヒディンクさんは意見の食い違い(激しい対立だったそうですが)で以前ダーウィッツを帰したときもプレスには彼の悪口は一言も言わなかったもの。98年のアルゼンチン戦でベルフカンプを替えなかったのもヒディンクさんでした。北風と太陽の話で、太陽が勝つっていうかんじかしら。ちなみにここのTV放送のゲストがペトロビッチで、先発メンバーを見て、「監督の意図がわからない!!」って憤っていましたよお。 小野くんが攻撃に参加したのは面白かったけど、1トップのリズムがつかめないうちに前半終了でしたね。
宮城の皆様、申し訳ないけど静かでしたよ。韓国のあの熱気と比べるとTVの音声でもわかるもの。雨のせいもあるのでしょうが、K島さんのいうとおり、観戦ではなく参戦してほしかったです。
当地の新聞によると;1。経験重視を捨て、ベテランでもベンチ入りさせることで若手のやる気とベテランの自己批判、頑張りをひきだしたこと(ただし当初は現地陣の猛反対に会い、プレスもさんざんに批判したとヒディンクさんは語る。。)2。FWとバックの距離を縮めたこと、中盤の組み立てを重視、ボールを受け取った瞬間に組み立てが予想できていること、イメージトレーニング。。だそうです。でも、こんなに熱心で真面目な「生徒」はいないよと韓国選手を誉めることも忘れません。
結局、心理的なサポートで選手とチームの持つ力(K島さん言うところの「火事場の馬鹿力」)を最大限に引き出した(今のところ)こと、となっています。どう思われますか。
韓国:スペイン戦、楽しみですねえ。韓国のディフェンスがどこまでオフサイドトラップでラウールを止められるかな。K島さんのスペインディフェンスの心理的分析、「うーん」とうなずきながら読みました。イーグルにいたときにリーグ戦で2ー0で負けていた前半終了後、「2ー0まではバックのせいじゃねえよ」 と堂々とFWをけなした(?)同期の高田氏のことをふと思い出しました。
監督の後任が誰になるのかは気になることですが、本当にキチンとした人材を捜してきてほしいものです。K島はアルデイレスに1回やらせてみたいと思っています。なぜなら、1・日本のこと、日本人の考え方をを知っている(日本での監督経験あり) 2・体型が小さい選手に自分の経験を語れる 3・南米人でありながら欧州でプレーした、たぶん世界中に人脈があるはず が主な理由ですが、K島個人的には同学年だし・・・ なんてのもあるんですね。それにしてもヒディンク起用はヒットでした。そんなことで「貼りつけ」ばかりで申しわけありません。明日はブラジル:イングランドですね。たぶん遅めに送信します。
6/21 ブラジルが来た、ドイツも来た
やあ、これでやっとワールドカップらしくなりました。下克上もいいけど、弁当のメニューでいえば鮭と卵焼きはやっぱり必要アイテム。あとは明日、キムチが入るのか、炊き込みご飯(パエリヤ)になるのか、七面鳥(ターキー)料理か、人肉(セネガルって人喰い人種じゃない?)か・・・ 希望はパエリヤと人肉だけど、さてそううまくいきますか? この2試合、どちらも老舗が終盤1点を守りに出たのですが対照的でした。ボール回しで露骨な時間稼ぎに出たブラジル。無気になって攻めたドイツ。余裕があったのはブラジルのほうで、ドイツはまあ国民気質もあるんだろうけど、危なっかしかった。試合内容もカーンあっての辛勝だったのはみなさんもご存じですよね。
いやあ、ロナウジーニョには恐れ入りました。またぎフェイント一発でDFちぎっちゃうし、フリーキックはどんぴしゃだし、レッド一発退場食らうし、なかなか楽しい「フットボーラー猿」です。またぎフェイントはK島が西尾映三(大学の同好会で1学年下の快速アタッカー)にぬかれるとあのくらい差がつくね。「おーーい西尾、どこいっちゃった? またマージャンやろうぜえ」 実は昨日編集部にいたら、イングランドびいきの吉田なんたらという若造が「K島さんはブラジルらしいけどイングランドのほうが早いです」と強弁する。私は大人だから相手しませんでしたが「あんた、イングランドにはリバウドみたいなことできるヤツはいないんだよ。あたしゃ別にブラジルサポーターじゃないけど、やっぱりメ世界でたった一人しかできない芸モを見るのが楽しみなの」ま、イングランドはミーハーに応援させときゃいいのです。なわけで職務上担当である「女性自身」の表紙は2週連続「ベッカム」ときた。まあ、そこそこイケメンなんでしょうがないけど、「ロベカル」「リバウド」「ロナウジーニョ」ってわけにはいかないかね。今回のベストゴールに入るであろうシュートを打ってるのは後者のハズだけどねえ。テレビで見る限り、応援もイングランドの7:3くらい? ああスッキリした。
週刊新潮で加納典明さんが「サッカーはボクシングと似ている」とのたまっている。全く同感。こちらも何回かボクシングの比喩を使っているが、典明さんと視点が同じだったのは嬉しい限り。あのエロ写真オヤジは並みのエロ写真オヤジではない。革命家だった父親?のDNAをしっかり受け継いだ尊敬に値する写真家である。いっぽう日刊スポーツでは郷田真隆棋聖が「サッカーは将棋と似ている」論を展開していた。「フラット3は蟹囲い、森島は銀」あたりはハマってるけど、「オーウエン、リバウドは金、中田ヒデは馬」っつうのはどうでしょう。金はDFのかなめ、ファーデイランドやいなくなっちゃったけどアルゼンチンのサムエルみたいな選手につけるべき称号じゃないかと思う。チラベルトは王将です。ロベカルは香車でいいね。そういえば昔イーグルの新人、松野尾文明に「香車」という名を小野寺健司がつけてたっけ。以下K島作品、わかる人だけわかってください。カテナチオ=4枚穴熊 ヒディンク=駒落ち名人 カウンターアタック=後の先 コイントス=振り駒 第4の審判=立会人 中盤のプレス=位取り クリヤー=一時力ベンチ=駒台 結構よくできた。ここは明日将棋世界の田丸昇編集長(八段)にFAXしようっと。
ドイツについてはGKカーンにつきるなあ。クローゼは足元は並み(頭だけ)ということが今日の試合でハッキリしてしまった。それでも決勝行っちゃいそうだ。韓国もスペインも明日の試合でぼろぼろになりそうな気がするから・・・ 在スペインの熊丸広美さんからはこんなメールが届いています。
毎日といっても出張が多くて飛び飛びにまとめて読んでますが、面白く読んでます。そうなのよ!!と思うときと、そ〜〜お??というときと色々ありますが、おもしろいよ。先日のアイルランド戦は、ラウルは負傷(今度の試合には出れないといっています)、ルイスエンリケはバテバテで足を負傷していたのですが、すでに三人替えていたのでトップに残して(ルーケを右に持って来たでしょう?)動かさずに使うしかなかったのです。あの試合で、途中かなり攻められてきたので、守りというか中盤で攻め中心でなく守れる人というのでAlbeldaを出し、Morienteを引っ込めたでしょ?私は個人的にあれがこんがらがる原因になったと思うのです。そのAlbeldaがハーフタイム、ロッカールームで動けなくなり病院にまで行く事になったため、後半ピッチにたてなかったそうです。TVのアナウンサーが言うまで私も気がつかなかったけど、後半は最初から10人しかいなかったのです。前半ですでに三人替えていたたため、Albeldaの替えも無し。Luis Enriqueの替えも無し。つまりほとんど9人で試合をしていたのです。≪ちなみに交代はRaul_Luque(怪我の為)、Morientes_Albelda(トップ_守備的ボランチ)、 De Pedro_Mendieta(左_右)≫なんでカマチョ監督この交代をしたのかは私には理解できませんが、私は素人。それなりの理由があったのでしょう。でもあそこで守りの体制には入って欲しくなかった。そういうことをするから、スペイン国民は非常につらい時間を過ごしたのでありました。うちの娘までクッションで顔を覆ってPK見てました。しんどかった〜〜。次はチームを引っ張っている(特に精神的に)Raulがでられない可能性が高いので、さて、誰が引っ張るのか?またHierroでしょうが、新聞によると、今度はHierro,Nadalのセンターバック年よりコンビ+ボランチHelguera,Barajaにするとか。私の大好きな Ivanちゃん(Helguera)はボランチの方が好きだけど、でもこの2試合で見せたあの人のバックは安定感があった。先取りの安定感??最初出してもらえず怒っていたIvan。堂々と記者会見でカマチョ監督に文句を言ったIvan。わがままな性格というかストレートな性格がいつも表に出て問題発言をする彼ですが、それをストレートにプレーに出してチームを引っ張っていって欲しい。HierroはこのWCのあと代表を辞める事を昨日表明してました。時代は変わったのよ。そうそう、私は6月30日決勝の日に日本へつきます。まだ予定全く分らないので帰ったら連絡します。くま
ということなんで、関係者の方は7月に熊丸さんとの飲み会があるのでお忘れなく。じゃ、明日はみんなでスペインを応援しましょう。
6/24 思想的清一色か…
なんだか心配になってきました。このワールドカップ、フットボールの歴史的に認知されるのでしょうか? もちろん、メキシコ選手(名前失念)の「スーパーバックヘッドゴール」とか、ロナウジーニョのワンマンショーとか、名場面は数々あれど、肝心要の「横綱対決」がないのですから。アルゼンチン対フランス、ブラジル対イタリア、スペイン対ポルトガル、夢のような対決がたくさんあるはずだったのに、実現したのはイングランドがらみの2試合(対アルゼンチン、対ブラジル)だけ・・・こういっちゃなんだがイングランドは所詮「小結」。13日目(SF1)は幕尻の地元力士、韓国が勢いで元横綱(今は小結だな、いいとこ)のドイツと対戦。14日目(SF2)は超久しぶり返り入幕のトルコが、場所前不振を極めていた張り出し横綱、ブラジルと取るコ。これで、千秋楽がドイツ対ブラジルになればギリギリ格好付くけど・・・ 流れから言うとどちらかが取りこぼしそう。とりわけ行司の軍配が韓国をさすように磁石で加工されてるようなので、長い相撲になると元横綱ドイツは苦しいかもしれない。千秋楽くらい「張り出し横綱対元横綱の初対決」がいいな。その場合、欧州・南米交互優勝の法則からいって、張り出し横綱が勝つわけで、これなら大会そのものへのブーイングも多少は収まるでしょう。
というわけで、今日のネクタイは黄色のレアルマドリッドブランド、ボールを蹴る選手が小紋になってます。イエロもラウルもエルゲラも消えちゃったので、ロベカルに頑張ってもらおうという気持ちです。いちおう緑のシャツだけど、他人はわかってくれないでしょうね。にわかブラジルサポーターになって、なんとか大会を歴史に残したい、と考えてるんです。ところで、ブラジル国旗の真ん中の帯になんて書いてあるか知ってますか? オルデム&プログレッソ、「秩序と進歩」です。フットボールに関して言えば「秩序」はないね。ほとんど個人技まかせだし… ただ「進歩」はさすがに王国だけのことはある。3Rはやっぱり今大会の華です。
さて、韓国について正鵠を射ているbbsを発見しました。知る人ぞ知るホームページ「倉敷倶楽部」からです。ご紹介します。
From:くろろん
実力をはるかに凌駕する快(怪?)進撃を続けている韓国は、W杯後がタイヘンだろーなぁ。としか思えないし。なんか、40階建ての基礎作ったところに、一流の設計士がやってきて基礎にちょこちょこと手を加えて、すごい設計図書いて、100階建てのビルを建てちゃった感じ。おいおい、それでずっともつの? 設計士がいなくなったあとのメンテナンスは?
一度あの熱狂を体験してしまった国民の要求に 韓国代表は応えられるんだろーか?!って思いません?
若手の育成はエリートだけで、何割かはJリーグ任せ。しかも、徴兵制あり。このままこれが続くなら、2006年の韓国のW杯出場はないと思います。今、ウチでささやかれていること。#「欧州枠拡大が不可能なため、2006年予選から、#トルコとロシアはアジア枠入り」。きびしー。#それに、本気になったら中国も怖いしなー。
K島も思います。たしかに韓国ヤバいですよ。橋やデパートが崩れ落ちるの得意な国だからなあ。期間中、知らん顔してアリラン祭りやってる北朝鮮と同一民族だなあ、って思う。よくああいうふうに「思想的清一色」が完成するもんだ。ま、それでもbest4は役満だ。ちょっと積み込みぽかったけど。
さて、配信先の一人である春風亭正朝師匠(防府高校サッカー部〜明治学院大学落研)の「ブラジル:イングランド観戦記」が送られてきました。フランス大会のときは解説?で衛星第1に登場なさったサッカー通です。ちょっと長いけど面白いので読んでみてください。
6時に起きて、8時前に家を出発。東中野駅みどりの窓口で「掛川往復。新幹線自由席特急券も」と言うと、駅員が「サッカーでしょう。『エコパ観戦切符』がお得ですよ」と勧めてくれる。そんなモノがあるなんて、全然知らなかった。料金は1万1千円。よくわからないけど、正規料金よりは安いらしい。ちょっぴり幸せな気分になる。
東京駅、発車間際のこだまの自由席はほぼ満席。3人掛けの真ん中に、ようやく空席を一つ見つけて座る。W杯観戦とおぼしき面々は、半分強といったところだろうか。イングランド人の姿が結構見える。ブラジル人はほとんど見かけない。
2時間弱で掛川に到着。別に寄る所もないので、すぐにシャトルバスに乗る事にする。時計を見ると10時50分だった。約10分で東第3駐車場に到着。「11時だよ。早すぎるノ」と一人苦笑する。駐車場のすぐわきに、イベント会場がある。とりあえず、ここで時間をつぶす事にしよう。考えてみれば、埼玉、カシマ、西帰浦、長居、大分と5会場を観たが、こういうお遊びスペースには一度も足を運ばなかった。アメリカ大会・フランス大会では、どこでも試合開始前にこの手の場所で遊んだっけ、と思い出す。根が貧乏性なので「せっかく海外に来たんだから」という観光旅行気分があったのも、事実だろう。また、そういう場所は例外なく楽しかった。その点今回の日韓共同開催は、どうも観光気分にはならない。とにかくサッカー観戦のみに集中していた気がする。
巨大テントの中の、静岡県物産展示即売コーナーみたいな所を見て回る。つまらない!驚いた事に、この時間からお客さんの多い事!ステージでは和太鼓のパフォーマンスが始まった。少し早いけど、弁当を買って食べる事にする。どうしても「カツ」を選んでしまう自分が微笑ましい。ベンチに腰を下ろして一人で弁当を食べるのは、少し寂しい気がする。
11時半を回ったし、つなぎきれなくなったので、スタジアムに向かう。この道が異常に長い。多分10分以上は歩かされた。やっとエコパの巨大な屋根が見えてきた。ここで最初のチケットチェック。すでに長い列ができている。そばにいたボランティアに聞くと、「12時から開場です」と言うので、「ええっ!」と声を上げると2分前だった。
ようやく第一関門を通過すると、いよいよゲートに着いた。ここはルール通りに「キックオフ3時間前」の12時半開門である。ここにもまた長い列が出来ている。しかたないので最後尾についた。隣にイングランドのユニフォームに身を包んだ外国人の男性二人連れがいた。とりあえず国際親善のために話し掛けてみる。メWhere
do you come from?モと聞くと、メ*+&%$ノモ英語である事は理解できた。意味は全くわからないっ、焦った。困った顔をしていると、イングランドとどこそこの間にある小さな島から来た。とよく分かる英語で答えてくれた。とりあえず、会話はそこで途絶える。気まずい沈黙。話し掛けなきゃよかった、と少し反省する。
12時半になって、やっと開門。列が少しずつ動きだした。ほどなくセキュリティーチェックを受けて、スタジアムに入る。毎度感じる事だが、この儀式にほとんど意味がない。バッグの中も、隠しようによっては爆弾だって持込み可能だ、・・・と思う。とにかく、スタジアムの中に入った。さて、あと3時間ある。ここでも数々のブースでイベントをやっている。「最後だし、少し遊んでみるか」と、まずは日清カップヌードルのブースへ行く。CMでお馴染みのヤカン(もちろんソフトなビニール製)をヘディングでこれまたヤカン型のゴールにシュートするというゲームをやっている。ゴールインすると、何かくれるらしい。列に並んだが、MCの女の子のカン高い声が耳障りだ。ギャラはいくら貰ってるんだろうと、ついつい考えてしまう。安いんだよ、きっと。ようやく順番が来て、ヘディングシュートを見事に決める。もっとも外す人は誰もいない。全員がもれなく入るようになっているのだ。バカバカしい。カップヌードル型の小さなリュックサックをもらう。こんなんなら、ただ配ればいいじゃないか、と思ってしまう。
次いでお隣の野村證券のブースに並ぶ。ここはコンピュータ画面のスロットゲーム。同じマークが三つそろうと、写真立てがもらえる。これはいい。オフィシャルロゴマーク入りの、特性写真立て。欲しい。こちらは前と違って、ほとんどが外れ。よく見ていると、20人に一人位の確率で当たりが出る。結局私はハズレ。ステッカーを貰ってすごすごと帰る。
こんな事で30分以上は時間を費やした。なんてつまらないんだろうと、苦笑してしまう。外国人はほとんど参加していなかった。恥ずかしい。さあ、スタンドに入るか、と最後のチケットチェックに進む。ここに入ったら、もう再入場はできない。
カテゴリー1の席は、メインスタンド・右サイド・コーナーフラッグ辺りの二階席だった。ベッカムがコーナーキックを蹴ると、目の前で見られる。まずまずの席だ。
それにしても、今回のワールドカップで初めてサッカーを知った日本人のなんと多い事か。当然予想していた事ではあるが、予測の範囲を超えている。ある友人の説によると、中年の女性(いわゆるおばちゃん)のファンが急増した、と言う。当たっているかもしれない。そして彼女達は、例外なく顔から入る。「稲本くん」だったり、「トッティー」だったりのファンになるのである。そんな中で飛びぬけた人気を博したのが「ベッカム様」である。私の周りにも、たくさんいる。あきれるばかりだ。
試合開始2時間前、スタンドに座り、一人雰囲気に浸る。何度体験しても、この時間がいい。好きだ。これから始まる戦いに想いをはせていると、ガラガラのスタンドが徐々に埋まってくる。やがて、アップのため選手がピッチに登場し、場内は最初の軽い沸点を迎える。アップが終わり選手がベンチに引き上げる頃、気がつくとスタンドは満員になっている。そんな時間を過ごすのが好きだ。
ところが、静岡スタジアムエコパのスタンドでさえも、まわりから聞こえてくる会話は、静岡訛りのおばちゃんの声で、「ベッカムがノ」「ベッカムのノ」「ベッカムとノ」「ベッカムはノ」うんざりだ。他に話す事はないのか、と突っ込みを入れたくなる。かつてJリーグが始まった頃「主婦が戦術を語る町、清水」と言われたサッカー所だろう!ここは清水じゃないけど(苦笑)、同じ静岡じゃないか。ジュビロも近いのに。
いやいや、そんな事を気にしてはいけない。今回は最後のナマ観戦だ。しかも準々決勝、カードはブラジル対イングランド。夢の対決じゃないか。気持ちをポジティブに切り替えよう。6月2日、埼玉スタジアムで観たイングランドは決してよくなかった。前半こそスウェーデンを押しまくり、ベッカムの左CKを巨漢DFソル・キャンベルが頭で合わせて先制したものの、後半はスウェーデンの驚異の粘りに攻勢を許す。ベッカムは明らかにキレていなかった。怪我が治ってないんだと、容易に想像できる動きだ。オーウェンはほとんどの時間消えていた。スコールズの不安定さに「このままだと、ヤバイぞ」と印象を受けた直後だった。スウェーデンに同点ゴールを許してしまう。スコールズのミスからだった。今大会イングランド危うし、と思った。
6月8日、西帰浦スタジアムではブラジル−中国を観た。開始直後、中国は意外にも攻勢に出る。ミルチノビッチのボラ・マジックが再び起きたのか?しかし、15分でその魔法は解けてしまう。ロベルト・カルロスのFK一発。その左足の一振りが、スタジアムの空気を切り裂いた。ほとんど赤で埋め尽くした中国人サポーターも、思わず驚嘆の声を上げてしまった。
ロナウドは、軽快に動く。ベッカムに比べて、こちらはかなり回復しているように見えた。もちろん全盛時のパフォーマンスには戻っていないが、フリーランニングの時のダッシュで、思いっきり走っている。ひざの状態はいいと見た。目についたのが、ロナウジーニョとジュニ−ニョ・パウリスタの二人だ。こいつらは面白い。好きなタイプの選手である。リバウドはノ、うーむ、重そうだ。試合は、終わってみればブラジルが4−0の快勝。両サイドのロベルト・カルロスとカフーが、まるでポジションという概念が存在しないかのように自由自在に上がり下がりを繰り返す。ある時間(それもかなり長い間)カフーは右のトップを張っていた。「あんたFWか?」サウジと中国には、次回アジアの枠を減らすような戦いだけはして欲しくない、と痛切に思う。
さて、いよいよラウンド・オブ・シックスティーンの戦いが始まった(この言い方は今回初めて学習した)。私は、当然ブラジル応援モードである。スタンドは圧倒的にイングランドが制圧している。ここはイングランド・ホームか?お互いに主導権をとれぬまま淡々と進んだ20分過ぎ、懸念されていたブラジルのDFが破綻をきたす。中盤に下がっていたへスキーから前線のオーウェンへ、斜めのフィードが出る。しっかりマークについたルシオが、一足早くパスコースに入り、オーウェンの前で難なくカット。この右足アウトサイドのトラップが、ほんの少し大きくなった瞬間をワンダーボーイは見逃さなかった。いや、狙いすましていた。突然ルシオとボールの間に割って入り、一突きするともうゴール前、飛び出したGKマルコスと一対一になる。落ち着いて、無人と同じ状態のゴールに叩き込んだ。「やっちまったよ」というミスである。ブラジル、ここで消えるのか。いやいやまだ始まったばかりだ。時間はある。このまま0−1で前半終了かと思ったロスタイム。自陣センターサークル辺りでボールを受けたロナウジーニョがハーフウェイラインを超えて、スルスルとドリブルで上がっていく。「チャンスになるぞ!」と思った瞬間、ギヤはトップに入っていた。跨ぎフェイント一発、イングランドDFがバランスを崩してよろける。コースが空いた!そのまま高速ドリブルでデンジャラスゾーンに侵入していく。イングランドの殺し屋3人がとり囲んだその時、右サイドに天使のパスをそーっと送る。斜め後ろから走りこんだリバウドが、落ち着いて左足のインサイドで合わせる。けっして簡単ではないそのシュートは、見事にゴールネットを突き刺した。1−1。素晴らしい!これぞセレソン。長髪をなびかせるロナウジーニョ、ブラボー!中盤で相手のプレスが甘いと見るや、すかさずドリブル。当たりに来たところを、一発のフェイントで崩す。そして3人を引き付けておいて、狙い済ましたラストパス。リバウドの得点ではない。0,8点はロナウジーニョの点だ。
絶好の時間に追いついた。これで後半はブラジル優位で試合を進められる。そして、始まった後半。開始早々、右サイドのフリーキック。またもロナウジーニョだった。ピッチ上の他の21人、4万7千人の観客、何億人というテレビで見ている人たち、おそらくほとんどの人が想像しなかったであろう。彼は直接ゴールを狙った。
最初の軌跡は、みんなの想像通りにゆっくりゴール前を目がけてフワッと上がった、ように見えた。しかし、ボールはその予想を裏切ってまっすぐゴール左上隅を目指して軌道を修正していく。一瞬前がかりになったGKシーマンは、あわてて体重を後方に移動させる。「マズイッ」と思ってバックステップしながら、最後に渾身の力を込めて斜め後方にバックジャンプを試みる。必死で伸ばした左手の先をあざ笑うかのようにボールはゴールの左上コーナーに吸い込まれていった。信じられない瞬間だった。何が起こったかよく分からないスタンドは一瞬静まり返り、そしてゆっくり歓声が爆発していった。
ブラジル2−1。これで充分だった。老獪なセレソン達は、前半の過ちを二度は繰り返さなかった。あせるイングランドは、単調な攻めしか繰り出す事ができない。あきらかにデビッド・ベッカムは疲弊していた。ワンダーボーイも輝いたのは、前半のあの一瞬だけだった。
後半の残り40分、変な言い方だが、まさしくそうだと思う。ブラジルはイングランドに点を与えない戦いをした。そしてそのプラン通りに目的を遂行した。イングランドは敗れ去った。セミファイナルに歩を進めたのは、カナリア軍団だった。
楽しかった。面白かった。素晴らしかった。今回のW杯は、観た試合すべてが満足できるものばかりだったが、特に最後に観たこの試合が、一番良かった。幸せだ。しみじみこの幸せをかみ締めながら、足早にシャトルバス乗り場に急ぐ。少しだけ並んだが、ほぼ順調に掛川駅に戻ってきた。
ところが、ここからが地獄だった。大分と同じ事態が起こっている。新幹線の乗り場まではなんとかたどりついたのだが、ホームは人であふれている。入ってきたこだまに乗ると、デッキまでしか入れない。ここが、ぎゅうぎゅう詰めの通勤ラッシュと同じ状態。とても東京まで2時間、このまま乗って帰る自信はない。次の静岡で下車する。5分後にひかりが止まるというではないか。これに乗り換える方が利口というものだろう。案の定、ひかりの方が空いていた。しかも新横浜までノンストップだ。デッキにへたり込むように座る。約一時間で新横浜に到着。席が空いた。疲れきった体を座席に沈める。ああ、私のワールドカップ観戦は終った。日本も終った。
でも、これから韓国の4強を目指す戦いが残っているし、その先はベスト4の激突、そして頂上決戦へと進んでいくのだ。これからが、いよいよリアル・ワールドカップの戦いである。しばしまどろんだ後、夢の続きをしっかりこの目に焼き付けていこう。
すごい長文になってしまって、すみません。K島さんの日記には転載できませんよね(笑)一応私信として、ヒマな時があったら、読んでみてください。ご迷惑をおかけします。
昨日、日本代表マル秘情報を入手しました。トルコ戦の西沢先発の理由…。 あの日、柳沢は以前から傷めていた首の痛みが、悪化したのだそうです。そして何より、西沢は練習では絶好調だったそうです。聞いてみなくちゃ、わかりませんな…。
では、また。機会を作って飲みましょう。ただ、すっかり貧乏になっちまって、手元不如意で。(お恥ずかしい限りです)
春風亭リベロ正朝/落語協会FCマンダラーズ
6/26 準決勝ナマ観戦を前に記す
出版界においては「ナンバー」の一人勝ちが噂されている。ワールドカップモードで週刊となり、速報性がグッと高くなった。おまけに満広状態である。(営利的にはこれが大きい)K島は創刊以来定期購読しているのだが、なぜか「足りない」という理由で1と2が届かなかった。仕方ないから先週ツタヤで買ってきた。3は先週無事届き、4が昨日手に入った。4では金子達仁氏が「日記12」で書いたことを逆説的に使っていた。金子氏の論調をかいつまんでいえば「代表が強くなりえたのは選手のプレー環境が上がったことが大きい。しかし一般の草プレーヤーがメサッカーできる場所モは極めて少なく、芝生のピッチなど夢のまた夢。よって日本はメプレーしないサッカーファンモ大国であり、これでは世界への道はやはり険しいのではないか」というものであった。負けたトルコ戦を受けての原稿だから、これは正しいし、負けてなくても正しいと思う。ひるがえってK島は「日記12」で「Jビレッジやフットサルコートの増加が、予選通過の力だった」と記しましたが、そのとき「ただし、どちらもお高い値段設定なのが気になる」と書くのを忘れていた。まあ、天下の金子氏と同じようなことに目をつけたんだからよしとするか。とにかく今でてる「ナンバー・W杯スペシャル4」は読み応えがある。杉山茂樹氏の「韓国にオランダの影を見た」とする論調も新鮮だったし…
さて、無事ドイツの決勝進出が決まり胸をなで下ろしました。あとは今日ブラジルが勝ってくれればいいんですよね。実力テストQ1(予選リーグ15試合を予想)なんと9試合的中の小林克己さんからもメールが届いて「今日、ドイツが決勝に進むことになり、なぜか、ほっとしています。明日、ブラジルが勝ってくれれば、と願っています。今回のWCは、スパースターなしの戦術大会であったと、感想しています。2006ドイツWCで、アジアの出場枠が増えることも、願っています」とのこと。本当にそんなカンジだなあ。せめてブラジルには「ピッチの魔術師」ぶりをみせてほしいもの。これまでの試合でもそこそこ見せてくれているので期待してよさそう。なんだかんだいって客席に知り合いもそこそこいることが判明した。大笑いは会社の先輩の平岩二郎さん(井草高校サッカー部OB)で、彼はブラジル人の嫁がいるのでそのルートからチケットにたどり着いた。しかし入手にはブラジル人の証明が必要で、「しょうがないから子供を連れてって買ってきた」そうだ。いろいろ大変です。
K島のテニスの友人の一人に長田祐治さんがいます。彼は草テニスの世界では超有名人で、K島など歯牙にもかけない位置にいるのですが、諸般の事情で仲良くさせてもらっています。テニスのプレースタイルは「シャープな粘り強さ」が特徴で、その「集中力と勝負強さ」にあきれるのですが、彼のWCひいき国はどこだったと思いますか?
「長田です。WCについて言えば今回の私のお気に入りはなんと言ってもアイルランドです。アイリッシュ魂には感動しました。予選初戦でカメルーン有利(中津江等あり注目されて、気が付いてみるとアイルランドびいき。アンチ巨人と一緒かな)かと思いきや後半はアイルランドペースで追いつき、地味ながら好感を持ちドイツ戦のロスタイムでのあきらめないあの気持ち(魂)に心奪われました。そしてスペイン戦。悔しかったが拍手を送った。TV映像(スペイン戦)に何回も出ていたサポーターのオヤジ(タオルを胸の前に突き出しイっちゃっていたオヤジ)が頭から離れません。K島さん見てないでしょうねあのオヤジを・・・(あとからテレビで見たよ!:K島)スペイン戦ナマで見られたなんて羨ましい。本日は張り出し横綱が勝つよう祈っております。昨日の元横綱にはほっとしました」
そういえば長田さんのテニスはアイルランドに似ています。「しのいでしのいで、ワンチャンスはゼッタイに逃さない」そんなテニスです。試合中イっちゃうのも実は自分のことで、試合中の我が身をあのオヤジに映していたのでしょうね。スポーツのシーン、人は自分を同化できるものに心打たれるんでしょう。それにしても、ファンも含めてアイルランドはメ熱いチームモでした。7月の軽井沢でまた彼のメ熱いテニスモを鑑賞できることが楽しみです。ホントは頑張って(K島も勝って:笑)長田・小川に当たるとこまで行きたいんだけど…
とりあえず、今日はブルーのシャツに月曜と同じレアルマドリーの黄色のネクタイで浦和に行きます。ポンチョも黄色だから、仙台みたいな失態(白いカッパでブルーがにじんでたんだって:金子達仁氏の指摘)はないぞ。にわかセレソンサポーターでもうしわけないけど、大会の盛り上がりを考えればここは東軍(関ヶ原に例えて)につくのがスジでしょう。ではアデイオース
6/27 ナマ観戦記5 準決勝ブラジルvsトルコ 「トゥキックの達人」
ナマ観戦も今日で最後、なんたって準決勝、SF(セミファイナル)である。呆れたことに社内でK島を含めて5人もこのチケットを持っていた。6万人に対して5人、首都圏のW杯観戦希望&可能者を2千万人として、確率は6/2000。330人に1人ってとこなんだが、330人の会社で5人かよ、サッカーどころ静岡県みたいな会社だねどうも。5人っていうのもK島が把握してる限りの数字だから、ほかにもいたかもしれない。ちなみに決勝のチケット持ってる人は社内で2人知ってる。1人はM役員で「ハンデ36のゴルファーがマスターズをナマ観戦するようなもの」だと(ねたみではなく)K島は思っている。口にもしている。誰か本人に伝えてくれ。
で、ほかにも3級審判員の岸親子とか、イーグル後輩の田辺裕さん、畑島某さん、K談社の田中成男さん、あ、この人は70年代からW杯詣でしてる人で「今回はチケット代に240万かかった」とお嘆きでした。例年は150万くらいで3〜4週間ご参詣です。ちなみに社員はT沼、Y梨、S光、H岩にK島。入場者6万人ともなるとけっこう知り合いは多い。入場者じゃないけどPhotographerの近藤篤さんはゴールネット裏で仕事してました。他のカメラマン出し抜いて先に入ってきたとこ見ると、日本語できないふりかなんかして「マリーシア」を演じてたんじゃないかなあ。彼のことだから… で、5時をすぎると社員観戦者の人たちの姿が見えない。S光クンなんぞは有給休暇だという。岸さん家に電話しても「もう出ました」という返事。こりゃヤバい、社内でセレソン着てウロウロしてる場合じゃないぞ、大あわてで埼玉スタジアムへ向かった。いろいろなコースがあったんだけど、護国寺〜池袋〜(埼京線で)武蔵浦和〜(武蔵野線で)東浦和と乗り継ぎ、無料のシャトルバスを利用した。「行きはよいよい」であっさり到着。所要約1時間だった。
予想通り、スタジアム前はセレソンの黄色が圧倒的。浦和美園からの道にはバッタ屋がユニフォームを売っていたけど、これもセレソン中心の売れ行きだったと思われる。まあ、ブラジルにとっては日本は準ホームみたいなもんだろうなあ。Jリーグに選手、監督たくさん送り込んだし、アントニオ猪木、ボボ・ブラジル、ヒクソン・グレーシー、顔なじみも多いし、その昔は移民も受け入れたし・・・ 例によってサンバのリズムで太鼓が叩かれている。トルコサポーターも散見するが、多勢に無勢の印象。うだうだしててもしょうがないのでスタジアムに突撃?したのは午後6時30分。 まだビール発売まで30分もある。しょうがないからウロウロしてたら、寂しい現実に気がついた。たしかにセレソンの黄色ユニフォームは多いのだが、背中のネームはロナウドばっかり。ごくまれにロベカル、ロナウジーニョ、リバウドがあるが、あとはドゥンガとジーコが一人づつ。カフーとかエメルソン(出てないけど)とかルシオとかはいないんかい? K島同様「付け焼き刃セレソン」が多いんだろうな。
ちなみにビールは7時(キックオフ90分前)からハーフタイムまでしか売ってくれない。とても冷たい。こっちは痛風もちだから、そんなに飲めませんけどね。これだけは韓国会場も日本会場も同じです。ただし1人1回1杯限りを遵守してたのは日本だけ、チェジュでは1人に何杯でも売ってました。この夜は結構寒くて、ブルーシャツの上にセレソンを着て、インテル(ロナウド所属)の冬物マフラーを首に掛けてちょうどいいくらい。選手のスタミナはもちそうだ。だいたい今回は梅雨だったわりに(何回か暑い日はあったけど)天候には恵まれたと思う。アメリカ大会なんて暑そうだったもの。豪雨の試合も1回くらいだったように記憶している。
7時半くらいから練習開始、名前は知らないがブラジル選手が4,5メートルの距離を胸で空中キャッチボールしている。身体能力の高さがそれだけで窺える。日本選手であんなことできるのは小野くらいじゃないかな。フリーシュートではリバウド、ロベカルが20メートルくらいの距離から鮮やかにポストを直撃する。当然、歓声がもれる。この日の席はバックスタンド前から5列目、たしかにピッチには近いが、近すぎる。個人的にはこういう席はカテゴリー2だと思うけど。ただし迫力はあった、それは認める。さいたまスタジアムも1階席は傾斜が緩すぎる、同じサッカー専用でも韓国のほうが百!倍見やすい(ああ、較べ方がCOREAモードになっちまった)。
試合についてはご覧になったとおり、ロナウドのトゥキックで全てが決まりました。トゥキックといえば、緒方立夫さんでしょう。名門小石川高校からイーグル入りした彼はK島より学年2つ下、年齢1つ上。アルコール、麻雀、___、遊び事の達人で、初めて場外馬券売り場に連れて行ってもらった記憶があります。彼のサッカーは身体が硬いので、エイヤッとボールの中央部を突っつくトゥキックばっかし。熟練した使い手なのでコントロールはいいのですが、球質の関係でトラップが難しい、ということはシュートには向いているわけです。K島も近年これに目をつけ、社内のフットサルで多用。何点かは稼ぎました。今ではシュートはトゥキックと決めています。走った後は、重心移動する体力もないので、これがいちばんラクチンなのです。蹴る方もどこに飛ぶかわかっちゃないんですから、キーパーも予測できない。老人にはもってこいのキック術といえます。ただし、フットサルはボールが軽くて距離も短いから通用するのであって、正規のサッカーだと辛いものがあります。しかるにロナウドは・・・ って比較するにもほどがあるけど、今回のボール「フィーバー・ノヴァ」は軽い
ので、トウキック向きの球だったと言えます。そうか、昨日の試合の決定要因はボールだったのだ。
それにしてもブラジルのDFは気合い入ってた。いきなりルシオのドリブルで始まったこの試合。ルシオにしてみればイングランド戦の汚名挽回ってとこだったのでしょうね。後半はほとんど目の前で競り合いが見られたのですが、迫力たるやすごい物がありました。宮本じゃ吹っ飛ばされちゃうなあ、ってかんじ。それを感じた後に今朝の朝日新聞を読むとあれれと思いました。沢木耕太郎、言わずとしれた日本屈指のドキュメントライターです。その彼がこんなふうに記しています。
「トルシエは日本代表を強くするために「フラットスリー」という戦術をとった。それは日本の選手に合った戦い方で強くするのではなく、自分の得意とする戦い方で日本を強くするということでもあった。彼は自分流の「フラットスリー」で日本を強くしたかったのだ」(沢木耕太郎;シンチョンリポートより)
違うって! 日本には競って確実に勝てるセンターバックがいないから「フラットスリー」というかオフサイドトラップを多用することに活路を見いだそうとトルシエは考えたんだって。日本のセンターバックの歴史を振り返れば、K島の記憶にあるのは小城、鎌田から川上をへて加藤久、柱谷、井原となるわけだけど、世界基準に達してた選手とは言い難い。体力、ずるさ全てを備えたW杯レベルの1対1で勝てないなら、その手前で止めようというのがトルシエの本意だったと思います。日本は草サッカーにおいてもセンターバックの不足は明らか、ま、そこまで沢木耕太郎といえども知らないだろうから責めるのは酷かもしれないけど。トルシエのメンタリテイを明治維新の「お雇い外国人」に例えたあたりはうまいとこついてただけに???でした。
ところで、今回のワールドカップでしくじったことが一つ、練馬ケーブルでスカパーを視聴していたK島は、たぶんCS経由のスカパーでも見られるもんだと思ってた。スカパーのキラーコンテンツ、倉敷アナの名調子で… と、ところがCS経由には倉敷実況は全く入ってこない、事前に調べなかったのがいけないんだけど、もうガックシである。なんで加茂・木村なんておよそくだらない「怪説」で見なきゃあかんのか。しょうがないからホームページで倉敷節を堪能するわけで、今日も大笑いしてしまった。
ブラジルvsトルコの後半、左からのアーリークロスをハカン・シュクールがダイレクトボレー。倉敷さんはその時、「おお!こんなことできるんですねぇ」「もっと早くやってくれればよかったのにノ」なんて言ってました。その他トルコのイルハンをして「さよちゃん」と言ってみたり、ロナウジーニョをして「スリラー」なんて言ってみたりと、かなりマイワールドを炸裂させてました。原博美さんがあまりついてけなかったようですが。というよりは原さんもヒロミ節を炸裂させていたようですが(笑)。とりあえず今ワールドカップ中継で一番笑いました!
イルハンを見て、「チョンマゲ」という発想はあっても 「さよちゃん」は凄いなあ。「スリラー」も座布団1枚。NHKに「出でよ倉敷保雄」といっても無理だろうが、民放は真剣に彼の購入を考えるべきだ。とくにサッカーアナに人材を欠く麹町のテレビ局!
7/1 そして大団円、けっこう楽しめた!
3位決定戦ではトルコが勝ち、決勝ではブラジルが戴冠の誉れに輝き、2002ワールドカップはその幕を閉じた。「けっこう楽しめた」というのが、K島のいつわらざる感想だ。そりゃあ、ファーイースト、極東の僻地で開催されたわけだから、海外サポーターは少なかったし、サッカー大国のようにファンの目も肥えてないから会場の盛り上がりもイマイチだったりしたけど、「ワールドカップ」という名のフットボールのおもしろさは、そこそこ味わえたように思う。審判もチケットも、問題が生じることを含めて「ワールドカップ」なんだと思えばいい。ただ「時差があって、眠い目こすりながら見る方がワールドカップらしいよね、K島さん」という瀬尾健さんの意見にもうなずけるものがありますが。
K島は6/29〜30と山中湖でテニスの合宿をしていたので、3決および決勝は20人ちかくで大型テレビを囲んでの観戦だった。そうなると「結果当て・実力テスト」を企画しないではいられない性分である。1−0、2−0、3−0、2−1、3−1、3−2、その他のスコア、で両チームに勝ち枠を作り、他にゴールデンゴール、PK戦も枠を作る。その紙に名前を書き込んでもらう。当然、同時に入金する。3決の場合、1−0、2−1、2−0あたりは人気になるから1000円、他は500円で発売すると枠はたちまち埋まった。10万ウオンくらいが一人取りできる設定である。おかしかったのが3決で、開始11秒で韓国の零封や1−0ゴールデンゴールに投じられた票は死んだ。その後もパカパカ点が入って、前半終了で3−1。「3−1トルコ」を持っていた松井茂晴さんは両チームのシュートが外れるたびに「よしよし」とほくそ笑む。「3−2トルコ」を持っていた緒方立夫さんは爆睡で「果報は寝て待て」作戦。「その他のスコアでトルコ」はK島が持っていた。前半の勢いならトルコの追加点は楽勝だと信じていたのだが、3点とって意識が「攻撃より防御」に傾いたかもしれない。それにしてもロスタイムに韓国のゴールが記録されたときの松井さんの落胆を見るのは楽しかった。こういうのをまさに「人の不幸は蜜の味」という。
当然、翌日の決勝もスコアシート囲んでの観戦となった。オッズ担当のK島が1000円枠に指定したのはブラジルの1−0,2−0,2−1、3−1加えてドイツの1−0。まあドイツが勝つとしたらこのスコアっきりないでしょう、という推測でここがカテゴリー1。500円のカテゴリー2、300円のカテゴリー3も作った。しかるのち、昼間やったテニスの団体戦(賞品つき)で成績悪かったチームから指定権を与える。当然、あとから指定する人はすでに枠が埋まっていて不満も多い。そこで倍額出せば、その枠に入れる(当然配当は2人で分ける)行政措置を認めた。第1次指定でブラジル2−0に1万ウオンをぶちこんだK島だったが、オッズを作った意地もあり、本命1000円枠の1−0、2−1、3−1にどっと6万ウオンを投入「どうだ!メ篠システムモだ」と叫ぶ。(篠崇幸さん=いつでもどこでも勝負は資金力と猛進&盲信する怪人、馬名:ナカノジヌシオー)さらに試合前の情報でブラジルの得点シーンを見せられるとつい「その他の点数でブラジル勝ち」にも6000ウオンを投資したくなり、なんだかんだで、9万ウオンくらいつっこんでしまっていた。結果はみなさんご存じの通り。
後半、2−0ブラジルリードのときは、このあとどちらが1点取ってもOK。このまま2−0で終わってもOKという完璧な「左うちわ」状態。参加者の皆さんの顰蹙買いましたけどね。しかし計算してみると、9万ウオンつっこんで、配当が12万7000ウオンじゃ賢い投資家とはいえません。反省してください。反省ついでに試合中、「千代さんがフェラー監督と結婚したらメフェラー・千代さんモだ」という発言についても深く・・・反省・・・するもんか、ガキのころからの芸風だい。
優勝したブラジルについては、好感もてたのは練習をほとんど公開したこと。マドリッドで見たレアル・マドリーの練習なんて朝から観光バスが何台も止まってた。あのイワン・カンポ(荒さで知られる同チームのDF=5月の日本代表戦に出場)が恐ろしく小技の効く選手だったりすることも知りました。「練習」はときに「試合」よりも面白いもの、見せないなんてプロじゃない、と声高に言いたい気持ちです。まあ、それだけゲームにおける「戦術」の占める比重が大きくなってしまったということなのでしょうが、今大会で感動を憶えた試合って、どちらかというと「やあやあ、我こそは・・・」みたいな古典的な1対1が多かった試合のほうが興奮度は高かったように思う。「2対1で攻める、守る」=「数の攻め、数の受け」は将棋でもそうだけど見せ場がないんだよなあ。
ところで、韓国では3決で盛り上がった後は「決勝???」くらいの雰囲気だったらしい。韓国人が韓国の試合にしか興味のない理由って、昭和30〜40年代の日本のプロレスみたいなものだろう。つまり力道山、豊登、G・馬場と続いた日本人(正義)vs外国人(悪役)っていう図式のみが「興奮」を呼ぶシステム。あの頃、日本人同士のカードは前座だけ、メーンないしウケを取る試合はすべて日本人vs外国人だった。そしてリングアウトでも反則でも「力道山が勝てばいい」の世界、別に日本が進化したとは思わないけど、あるときから外国人同士の試合もなかなか面白いことに気付いたんですね。
あとがき
どうせ4試合(最終的には5試合)もナマ観戦するなら、いつもお世話になっている皆さんにそのレポートくらい送ってもバチは当たらないかなあ、と思って始めた。実際に行けない人も多いわけだしね。本音は四半世紀にわたって「ワールドカップ実力テスト」を企画してきたので、当初はその経過報告をかねて書いていけばいい、くらいに思っていた。嬉しかったのは、いろいろな人から励まされたこと。音信不通だった人とも連絡が取れたりした。酔狂にも転送してくださった方も多くて、これまた嬉しい限り。なんとか送信相手の名前を出そうという意識も、後半には生まれてきた。
「フットボール」と「サッカー」の使い分けだけは、けっこう気を遣ってたつもりで、もしそのことに気付かれていた方がいたらこれまた嬉しい限りです。とにかく「執筆」の時間をひねり出すのが大変で、学生時代の朝練よろしく、早朝出社した日もあったほど… ワールドカップは出るのも見るのも書くのもタイヘンなんですね。
もともと大学卒業時には「スポーツ新聞」への就職も考えていたわけで、観戦記を書くことは「やってみたい仕事」の一つだった。しかし、こうして終わってみると正統派とはほど遠い。サイドでコチョコチョやってる、サブのお笑い選手ってとこだなあ。寄席で言えば出来の悪い「色物」「膝替わり」ってとこでしょうか。まあ年に1回くらい「明日の締め切りどうしよう?」ごっこも楽しいので、テーマ見つけてやってみようと思ってます。老後のボケ対策にもよさそうだし… ご希望があれば送信いたしますので、お暇なときに感想など聞かせてください。なおバックナンバーの整理にあたっては、西谷隆司さん、加藤亨さんの絶大なるご協力を得ました。御礼申し上げます。「ウエッブ音痴のK島がなんでそこまでできるんだ?」と何人かの人に聞かれましたが、そのへんはほとんど他人まかせだったわけです。じゃ、またいつか…
付録:K島が主催した実力テスト
実に第1回は1978年・アルゼンチン大会だ。今回は難しくて最高点46点、ペケは9点。100点満点ですからね。表彰はQごとにやりました。全部に参加しなくてもいいシステムにしたのは、日本戦以外興味がない人も多いと思って…
since1978
2002ワールドカップ大予想
前回同様4つの設問です。それぞれエントリーフィー500とします。
全問に参加してもいいし、一つだけでもOKです。
全問参加の場合のエントリーフィーは500×4=2000です。
表彰は各設問ごとに行いますが全問参加者には総合優勝のプライズがあります。
Q1/予選リーグ試合別予想:以下の各試合を予想せよ。ただし$マークのチームには1点のハンデを与える。例・「&中国vs韓国」という試合で1:1の引き分けであったとしたら中国にハンデ1が加わるので中国の勝利扱いとなる
(各2点)
1 0 2
5/31 フランス [ ][ ][ ]$セネガル
6/1 ウルグアイ [ ][ ][ ] デンマーク
6/2 アルゼンチン[ ][ ][ ]$ナイジェリア
6/3 ブラジル [ ][ ][ ]$トルコ
6/4 韓国 [ ][ ][ ] ポーランド
6/5 $アメリカ [ ][ ][ ] ポルトガル
6/6 カメルーン [ ][ ][ ] サウジアラビア
6/7 アルゼンチン[ ][ ][ ] イングランド
6/8 イタリア [ ][ ][ ]$クロアチア
6/9 メキシコ [ ][ ][ ] エクアドル
6/10 韓国 [ ][ ][ ] アメリカ
6/11$デンマーク [ ][ ][ ] フランス
6/12$スウエーデン[ ][ ][ ] アルゼンチン
6/13 エクアドル [ ][ ][ ] クロアチア
6/14 ベルギー [ ][ ][ ] ロシア
Q2/日本代表の予選成績について予想せよ。(各6点)
2点差〜勝利 1点差勝利 引き分け 1点差敗北 2点差〜敗北
対ベルギー [ ] [ ] [ ] [ ] [ ]
対ロシア [ ] [ ] [ ] [ ] [ ]
対チュニジア [ ] [ ] [ ] [ ] [ ]
日本のファーストゴールはだれでしょう?(オウンゴールは除く・得点者なしも可/2点)[ ]
Q3/下記よりベスト8に残るチームを選びOで囲め。ただしAゾーンからは最多で5チームまでとする。当然5チーム以下でもOK。(1チーム正解につき3点)
Aゾーン
フランス スペイン ブラジル ポルトガル ドイツ アルゼンチン
イタリア ロシア
その他
セネガル ウルグアイ デンマーク スロベニア パラグアイ 南アフリカ トルコ 中国 コスタリカ ポーランド 米国 韓国 サウジアラビア
アイルランド カメルーン ナイジェリア イングランド スエーデン
エクアドル クロアチア メキシコ 日本 ベルギー チュニジア
Q4/優勝・準優勝・BEST4を当てよ。(優勝12点・準優勝8点・3位4点・3決負け2点)
優勝〔 〕 準優勝〔 〕
3位〔 〕 3決負け〔 〕
氏名〔 〕 連絡先〔 〕